大麦ぬかと米粉を使って試作したスナック菓子

 大麦工房ロア(足利市大月町、浅沼誠司(あさぬませいじ)社長)と県産業技術センターは10日までに、食物繊維などが含まれる「大麦ぬか」を活用したスナック菓子を開発した。大麦ぬかはこれまで飼料として使われていたが、食品として利用されることはなかった。両者はフードロスの削減や新たな健康食品の創出につながるとして、製法を特許出願した。

 大麦はβ-グルカン(水溶性食物繊維)を多く含み、加工食品の原料として利用が拡大している。同社も菓子「ダクワーズ」などに大麦粉を使うが、製粉工程で多くの大麦ぬかが発生していた。これまでは廃棄するか家畜飼料にするしかなかったため、大麦ぬかに適した食品利用法の開発が課題だった。

 両者は2022年度、β-グルカンを豊富に含むスーパー大麦「ビューファイバー」のぬかを主原料に使い、副原料に米粉などを配合したスナック菓子づくりに取り組み始めた。大麦粉や小麦粉なども使い、配合割合も変えて試験を繰り返した。

 スクリューの回転で材料の混練や加熱、加圧処理を行う機械「2軸エクストレーダー」を使った押出加工による製法の結果、米粉はぬかの割合を50%まで増やしても菓子の膨らみが維持され、加工条件を変えるとさらに膨らんでサクサクとした軽い食感が得られることが分かった。

 同センター食品技術部の金井悠輔(かないゆうすけ)主任研究員は「原料配合や装置の運転条件により、大麦ぬかが食品に利用できるという成果が得られた」と説明する。本県が全国有数の二条大麦生産地であることもあり、これまで廃棄されてきた大麦ぬかの有効活用に期待を寄せる。

 同社は特許出願した製法を基に、今後商品化を目指す考え。鎌田直(かまたなおし)品質管理室長は「いきなり設備投資はできないので、まずは委託製造先を探し、消費者に受け入れられるかどうかを見極めたい」と話している。