分科会「生成AIとメディア」では、人工知能(AI)の現在地をテーマに学びを深めた。
弁護士の出井甫(いでいはじめ)氏は「生成AIと知の観点から見たメディアの意義」と題して講演。生成AI関連の事件や法的議論の状況、メディアとの関係性などを解説した。

生成AIのリスクとしてデータの無断学習やディープフェイクといった生成物の不正利用などがあるとして、「民主主義の根幹を揺るがしかねない」と警鐘を鳴らした。
今後のメディアの意義については、生成AIサービスに関する問題提起や偽情報対策、労働者の保護などがあると指摘。クリエイターらから多くの相談を受けていることを明かし、「人の手による情報発信が求められている」と結んだ。
読売新聞東京本社の稲垣信(いながきまこと)氏は、生成AIをテーマにした同紙の連載について説明した。
偽動画の作成理由を「憎悪を高めるため」と答えた人がいたことなどに懸念を示し、「情報の正確性がいかに重要かを改めて感じている」と述べた。
分科会では新聞社やテレビ局、出版社で要約や文字起こし、翻訳などに生成AIが活用されていることも紹介された。(太田啓介)
■座長
中澤廉平氏(小学館編集総務局法務室長)
稲垣信氏(読売新聞東京本社社会部次長)
■講師
出井甫氏(弁護士、骨董通り法律事務所)
■報告者
板津直快氏(日本経済新聞社編集先端ビジュアルセンター長)
栗山和久氏(関西テレビ放送DX推進局DX戦略部専門部長)
和田裕樹氏(小学館ユニバーサルメディア事業局プロデューサー)