いわゆるニート(若年無業者)などの支援に関わる官民の関係機関で構成する県の「若者自立支援ネットワーク会議」は、本年度から県央、県南、県北で「地域版ネットワーク会議」を開くことを決めた。地域ごとに関係者が集まって互いの役割を理解し、連携を深める狙いという。

 さまざまな困難を抱える若者の支援には、関係機関がそれぞれの専門性に基づき関わる必要がある。不安を抱えたまま孤立する若者が、自立のためのチャンスを一つでも多くつかめるよう、きめ細かな連携体制の構築を望む。

 2022年の就業構造基本調査によると、15~34歳の若年無業者は県内に約9900人いるとされる。15~34歳の人口に占める割合は2・8%で、全国平均の2・5%をやや上回る。

 県の若者自立支援ネットワーク会議は、07年4月に発足した。県労働政策課に事務局を置き、民間支援団体や雇用・保健福祉分野の行政機関、教育機関など計129団体で構成する。中核となるのは県央(宇都宮市)、県南(小山市)、県北(大田原市)の三つの若者サポートステーション、通称「サポステ」である。厚生労働省が委託する支援機関で、15~49歳を対象に就職に向けた相談支援を行っている。

 昨年度の県内3カ所の新規利用登録者は計299人、相談件数は計6756件。計184人が就職、または短期間のアルバイトや職業訓練などにこぎ着けた。

 若者には人間関係や生活困窮、障害、メンタルなど、さまざまな悩みや不安がある。支援は長期間に及ぶこともあり、サポステ単体では困難なこともある。しかし連携先企業や自治体、他支援団体の協力、各種制度の活用などによって、就労が難しいと思われていた若者が就職できたケースもあるという。

 一方、ネットワークの構成機関が顔を合わせる会議は、これまで年1回のみだった。9月6日に開いた会議では、関係機関から「どこに相談すればいいか、分かりづらい」といった意見もあった。

 本年度の地域版ネットワーク会議は11、12月に開く。県労働政策課の担当者は「県全体で支援していくための連携強化と、ネットワークの可視化が必要」としている。関係機関が協力し合い、実効性のある支援を実現してほしい。