ラグビー国内最高峰リーグのリーグワン1部の三重ホンダヒートが、2026~27年シーズンに活動拠点を宇都宮市内に移す。県グリーンスタジアムを主たるスタジアムとする予定で、実現すればサッカー、バスケットボール、アイスホッケーなどに続き、国内トップレベルのリーグに所属するチームが県内に誕生することになる。
リーグワンには日本代表にとどまらず、ワールドカップ優勝メンバーなど世界トップレベルの選手も参加している。ラグビー熱の盛り上がりが期待でき、競技人口の裾野を広げる起爆剤としたい。
ホンダヒートの移転は、ホンダの研究施設などグループ企業が立地し、チームを支える基盤があることが大きな要因だろう。一方で収益化を推し進めるリーグの意向も背景にある。各チームにとって集客が重要な課題となる中、昨季の主催試合の平均人数は約3千人と1部平均の3分の1程度にとどまった。
同スタジアムは次世代型路面電車(LRT)でアクセスしやすく、収容人数も1万5千人超と収容力もある。さらに県内にはキヤノンや神戸製鋼、クボタなど強豪チームの工場なども立地し、対戦相手のファンの来場も期待できる。地元にとって好機と捉え、LRTを絡めるなどして地域経済が潤う仕掛けを今から検討を始めてはどうか。
県ラグビー協会によると、23年度の本県のラグビー人口は854人で、ここ10年では700人台前半から800人台で推移している。ただ高校のチーム数は9から7に減るなど、競技力を磨く場は減少傾向にある。
ホンダヒートは小中学校への出前授業や地域イベントへの参加など地域貢献活動に取り組んでいる。宇都宮でも同様の活動を続ける意向を持っており、子どもたちがラグビーに触れる機会を増やしたい。少子化の影響はあるものの、競技人口増とともにチーム数の増加にも期待する。
ホンダヒートは宇都宮に移転する26~27年シーズンでの優勝を目指している。それまでの2シーズンの強化が重要なのはもちろんだが、移転後の関係機関のサポートも不可欠だ。県は、県スポーツコミッションとして支援していく考えを示している。チームの情報発信にとどまらず、スタジアム面など選手が試合に集中できる支援も必要だろう。