県内で朝食を取らない児童生徒の増加傾向が続いている。県は「第4期食育推進計画」で朝食摂取の普及啓発に取り組んでいるが、「2025年度までに0%を目指す」の目標達成は容易ではない。正しい食生活は健康な体づくりの基本だ。ライフスタイルが多様化する中、家庭で児童生徒が実践しやすくなる啓発の工夫が県に求められている。
25年度が最終年度の同計画は、食を通した人間性の育成や県民の健康など三つの基本目標を設定。それぞれ達成への指標を掲げており、「児童生徒の朝食の欠食」の低減もその一つとしている。
「子どもが朝ご飯を食べない」という話は今に始まった課題ではない。国や県の調査における「県内児童生徒の朝食の欠食状況」によると、23年度に「全く食べない」とした高校3年生は、基準値の19年度比で1・9ポイント増の7・2%、「全く食べていない」「あまり食べていない」とした中学3年生は2ポイント増の7・4%、同じく小学6年生は1・7ポイント増の5・4%だった。ここ10年ほどの調査を見ても、各世代で上昇傾向にある。
朝食抜きは脳のエネルギー不足による集中力や記憶力の低下などにつながるとされ、学校生活にも影響を与えてしまう。県は昨年度、学校へ管理栄養士などの専門家を派遣したほか、本年度もリーフレットを作製。市町教委から各中学校にデータを送付し、生徒や保護者に理解してもらおうと努めている。
個食など家庭の食事情が変化した今、「健康のために朝食を取ろう」という画一的な啓発だけで改善を目指すのは難しい。宇都宮大農学部の西山未真(にしやまみま)教授は「ライフスタイルの変化を理由に食生活を変えなくていいわけではないし、児童生徒だけの問題ではない」と指摘。その上で「保護者も子どもも、まず自身の食生活を見直すことから始めてほしい。自分にできることを考えていけば、『朝食を取ろう』という気持ちにつながっていく」と説く。
今月第3日曜日の20日は、県が定めた「家族で食育の日」だ。県はこうした機会を生かし、食にまつわる家族の思い出や食生活改善のコンテストなど、一歩踏み込んだ取り組みができないだろうか。家族一緒に食へ目を向けてもらうことで、自然に朝食も意識する。欠食低減へのきっかけづくりを期待したい。