自治体がふるさと納税を募る際、寄付した人に特典ポイントを付与する仲介サイトの利用を禁じる総務省方針に、県内各自治体はその効果に懐疑的な見方が少なくない。同省は、自治体が仲介サイト側に支払う手数料の抑制につながると見込んでいるが、サイト側の対応は不透明だ。ふるさと納税そのものの縮小を懸念する自治体もあり、国は自治体、サイト側、利用者に対して十分な説明をすべきだ。

 ふるさと納税の大手仲介サイトは寄付者に、サイト内の買い物などで使える特典ポイントを還元している。

 総務省は自治体が支払う手数料の一部がポイントの原資とみており、自治体経費がかさむ要因として6月、利用禁止の方針を示した。2025年10月から実施する、としている。

 下野新聞社が県内25市町と県に実施したアンケートによると、方針を「評価する」と回答したのは下野、益子、市貝、壬生、那須の5市町。残りの20市町と県は「どちらでもない」だった。

 「評価する」理由は、「『ふるさとを応援したい』が『お買い物』になってしまった」など、制度本来の趣旨に是正されることを期待する内容だった。当然の意見だろう。

 県も含めた大半の市町が「どちらでもない」と回答したのは、制度変更の影響が見通せないからだ。ポイントの原資を自社で負担していると主張する大手仲介サイトもあり、手数料の減額に結び付くかは分からない。さらに、利用控えムードも懸念し「納税額の減少も予想される」との回答もあった。

 利用者はポイントを得られなくなるデメリットがあり、自治体側も趣旨は理解するものの効果に懐疑的な見方を抱える。大手仲介サイトの中には、反対署名を募るところもある。

 そもそも、ポイント付与の禁止によって、サイト側の手数料引き下げを誘導したいのであれば、手数料は寄付額の何%までと一律に決める方が効果的ではないか。そうすれば、経費の軽減が見通せるため、各自治体は制度変更を歓迎するだろう。

 国は制度の趣旨に反する問題が起きるたびにルール変更を繰り返している。「いたちごっこ」が続く状況は、この制度そのものに対する不信になりかねない。腰を据えた対応が国に求められている。