東京ブレイズ(東京都世田谷区、松康太郎(まつこうたろう)社長)は29日までに、さくら市氏家に金属同士の精密接合「ロウ付け」などを行う栃木工場を開設した。埼玉県志木市の埼玉工場から加工ラインを順次移転し、会社全体の受託加工能力を従来の1・5倍以上に高める。栃木工場では新規事業にも乗りだし、将来的に従業員を50人程度まで増やす計画だ。
同社はさまざまな金属を溶かして強固に接合する「ロウ付け」で高度な技術を有し、接合時に使うロウ材の製造から部品接合の受託加工、加工装置の開発製造まで一貫して行う世界でも珍しい企業。
これまで開発・製造拠点としていた埼玉工場の老朽化が進んでいたことや、接合に必要な水素ガスの受け入れ能力などを勘案し、事業継続計画(BCP)や事業拡大の観点から栃木工場を新設した。
栃木工場は敷地面積約5千平方メートルで、一部2階建てと平屋の工場2棟の延べ床面積は約2千平方メートル。水素ガスを使うロウ付け工場は立地条件が厳しく、2023年に条件に合った土地と建物を取得して改修した。
ことし9月には、水素炉を組み込んだ自動加工装置の1生産ラインと非破壊検査を行う検査室が稼働した。受託加工は自動車や電機、半導体、航空宇宙分野の部品など多岐にわたり、今後3年をめどに5ラインを埼玉工場から順次移し、受託加工のメイン工場にしていく。
栃木工場では、金属切削工作機械に必要な切削油に替わる「水性切削液」の製造にも乗り出す。資本提携した相手先ブランドによる生産(OEM)で、切削工程の環境改善や、優れた冷却性、潤滑性による生産性向上などをアピールして需要拡大を目指す。
現在の従業員数は10人だが、今後は高卒などを含めた若手人材の採用を増やして養成していく方針。