JR小山駅西口の再開発ビル「ロブレ」の再生策を巡り、約50%の所有権を持つ小山市が市中央市民会館機能の移転を核に、建て替え再整備する方向で検討を始めた。両施設が抱える現状の課題を一挙に解決させるとともに、人口減に伴う公共施設の総量削減の方向性にも合致する。
一方、同駅西口ではほかにも、大型市街地再開発事業の計画が具体化しつつある。現状では手狭とされる駅前広場と併せ、一体的な再整備も必至だ。数百億円規模の費用が見込まれる大型事業となるだけに、市はこれまで以上に市民との対話を通じた丁寧な合意形成に力を注ぐべきだ。
ロブレは商業施設を中心とした現形態での経営改善が見通せず、修繕費増大が足かせとなっていた。市は10月、オープンから約30年と老朽化したロブレと隣接する立体駐車場について、2028年度までを目安に閉鎖する方針を決定。解体後に新施設を建設し、市有部分を公共施設として活用する方向性を示した。
市役所南側に立地する市中央市民会館は、約千人を収容できる市文化センター大ホールを中心に市中央公民館、市中央図書館分館などを備えた文化事業の拠点施設として市民に親しまれてきた。しかし築45年以上が経過し老朽化、耐震性能にも難があり、建て替えは必至とみられてきた。ロブレが具体的候補地とされたのは今回が初めてだが、市の各種計画では駅周辺への建設が想定されていた。
そこで市は昨年、市中央市民会館の在り方を検討するため、市民アンケートや市民参加型ワークショップを重ねた。この中では大ホールの規模は現状と同等以下の客席数とする一方、図書館機能やロビーなどを拡大して市民が集える空間を生み出す、といった提案がまとめられた。
市が策定中の長期指針「田園環境都市おやまビジョン」の理念に従えば、駅周辺の再整備が目指す方向は、歩いて楽しめる「ウオーカブルなまちづくり」となる。マイカーの流入規制とともに、バス路線充実をはじめ公共交通の抜本的見直しを進めるべきだ。
市は本年度内にも事業化検討調査を行い、施設のイメージ案を作成する。県内第2位の人口規模を誇る都市の表玄関であるだけに、小山らしさを象徴しつつ市内外から多くの賛同が得られる将来像を描いてほしい。