JA全農とちぎは、2025年産(24年秋~25年春)の県産イチゴの目標販売額を、24年産実績の289億3300万円を上回る300億円に設定した。担い手の高齢化や不足などで栽培面積は減少し、生産規模は縮小傾向にあるが、主力品種「とちあいか」を確実に売り込み、初の大台達成を成し遂げてほしい。

 24年産の販売額は過去最高を更新した。とちあいかが栽培面積で「とちおとめ」を初めて上回り、「いちご王国・栃木」としての転換期を迎えた。とちあいかは、とちおとめよりも10アール当たりの収量が良く、酸味が少なく甘みが強い特長を持つ。

 24年産の実績を見ると、とちあいかの収量は10アール当たり5・48トンで、とちおとめの4・05トンを大きく上回った。年間総出荷量では、とちあいか1万4012トン、とちおとめ6711トン。販売額では、とちあいかが187億4400万円、とちおとめが87億9300万円、スカイベリーが13億9600万円だった。

 25年産は、とちあいかの栽培面積が県内全体の約8割を占める。年間総出荷量は1万8300トン、販売額245億円を目標に据える。一方、とちおとめは42億円、スカイベリーは13億円を目指す。

 台風や病害虫による大きな被害はなく、今季も安定した出荷が進んでいるという。昨年12月からのシーズン最盛期を迎える中、JA全農とちぎは県と連携しながら流通業者とも協力し合い、販売機会の拡大を図りたい。

 東京・新橋の食品スーパーでは同12月中旬、とちあいか、とちおとめ、スカイベリーの3品種が売り場に並び、他県産イチゴはなかった。本県産単独とはならなくても、常にイチゴ売り場の大半を本県産で占められるよう、小売店への働きかけも欠かせない。

 消費者から選ばれるためには、JA全農とちぎが基本方針に掲げる「品質高位平準化」を安定させるべきだろう。品質・量ともに「日本一」を維持していく必要がある。

 イチゴのシーズンに県は都内百貨店やスーパーなどでイベントを実施している。回数や開催場所を少しでも増やせるよう注力してほしい。

 認知度向上へ大手製菓メーカーなどに売り込み、とちあいかを活用した商品を全国的に販売できないだろうか。知名度を広めるすべを手にし、販売額達成を後押ししたい。