大相撲初場所は、横綱照ノ富士(てるのふじ)引退という残念なニュースと豊昇龍(ほうしょうりゅう)が横綱昇進を決めた朗報が交錯した場所となった。一方、本県相撲ファンはさくら市出身の十両生田目(なばため)、いずれも幕下で宇都宮市出身の若ノ勝(わかのしょう)、大田原市出身の三田(みた)の活躍に喝采を送ったであろう。
十両優勝争いを演じた生田目。幕下筆頭で勝ち越し、新十両が決定した若ノ勝。三田は、デビューから3場所の通算が17勝4敗と勢いが止まらない。6年ぶりの本県出身幕内力士誕生の期待が高まるが、入幕までの壁は今まで以上に高く厚い。地元からの熱い応援で、今後続く正念場を乗り切る力を後押ししたい。
生田目、若ノ勝、三田に稽古をつけるなど県内アマ相撲指導の第一人者で、選手、監督として通算30回国体に出場、国民スポーツ大会(旧国民体育大会)功労者表彰を受けた益子邦浩(ましこくにひろ)矢板高教諭(60)は、本県での相撲人気が上昇し、アマチュアのレベルが上がってきているのを肌で感じるという。長年続いている小学生対象の「わんぱく相撲」などが、相撲人口の裾野拡大に貢献してきたと見ている。
初場所の土俵に上がった本県力士は生田目を筆頭に序二段まで計11人を数えた。5年前、10年前の初場所ではそれぞれ9人だった。益子教諭は「アマのレベルが上がり、高校、大学で、ある程度の成績を残せばプロを志向する選手が増えてきた」と本県のアマ相撲界がプロを視野に入れてきている変化を指摘する。
11勝4敗の好成績だった生田目は十両の上位に進出するであろう。若ノ勝は新十両昇進で、晴れて本県から42人目の関取となる。三田は幕下付け出しデビューから3場所とも大きく勝ち越し、番付を大きく上げている。若ノ勝21歳、生田目22歳、三田23歳と3人はまだまだ若い。
戦後幕内に在籍した郷土力士は、足利市出身の八染(やそめ)(在位12場所、最高位前頭16枚目)、旧小川町出身の玉(たま)ノ富士(ふじ)(在位41場所、最高位関脇)、旧黒羽町出身の北勝力(ほくとうりき)(在位49場所、最高位関脇)、小山市出身の貴源治(たかげんじ)(在位2場所、最高位前頭10枚目)の4人だ。
郷土の幕内は貴源治以降、5年以上不在である。生田目ら3人には年内に入幕の期待もかかる。今後続く険しい幕内への道を県民の声援を背に切り開いていってほしい。