全国各地で地域づくりに取り組む団体などを応援する「第15回地域再生大賞」で、真岡市を拠点に活動するNPO法人「そらいろコアラ」が最高賞の大賞に輝いた。数多くの団体が地域活性化へ向けた多彩な活動を展開する中で、県内団体としては初の名誉であり、心から祝したい。

 選考委員会では行政や医療機関では手が届きにくい、民間ならではの妊娠期から育児期までのきめ細かいサポートが高く評価された。同法人の取り組みを「真岡モデル」として県内全域に広げたい。

 同法人は2020年に不適切な養育と、その連鎖を止めることなどを目的に設立した。妊娠や育児に悩む個人を孤立させないだけでなく、その個人を含む家庭としてつながり、切れ目のない長期的な伴走型の支援を目指している。

 取り組みは大きく二つある。一つはLINE(ライン)を活用した妊娠・出産・子育ての相談窓口「コアLINE」、もう一つは真岡市内に設けた居場所を活用した支援事業「そらいろポケット」だ。

 コアLINEは約20人でチームをつくり365日無料で相談に応じている。これまでの登録者は2千人、相談件数は延べ1600件を超える。利用者目線で接触しやすくハードルを下げることでSOSの早期発見につなげている。

 そらいろポケットでは物資提供やこども食堂のほか、体験イベントも開催。10代から中高年まで約100人のボランティアが活動を支えている。取り組みに共感する若者は多い。高校生、大学生ら次世代を担う力をさらに加え、活動の輪を広げてほしい。

 最大の特徴は医師や助産師、看護師、社会福祉士、保育士など多職種のメンバーが連携し、それぞれの専門性を生かしながら支援活動を展開している点だろう。

 国は昨年4月施行の改正児童福祉法で新たな生活援助事業を導入した。困難を抱える妊産婦が安心して暮らせる「居場所」づくりのため、入居施設を拡充したり、食事も提供したりするなど包括的な支援態勢を手厚くした。しかし公的制度には限界がある。

 核家族化が進み、地域のつながりも希薄になる中で孤立し、助けを求めることすらできない支援が必要な人はどこにでもいる。同法人の活動をそれぞれの地域に落とし込み、続く団体が県内外で誕生することを期待したい。