朝、起きられず、朝食も食べられない-。宇都宮市、私立通信制高2年のAさん(18)は中学2年の時、そんな状態に陥った。診断結果は「起立性調節障害」。自律神経がうまく働かないために立ちくらみやめまい、朝の起床が難しくなるといった症状が出る病気で、思春期に発症しやすいとされる。良くなるまで数年かかることもあり、Aさんの場合は約4年かかったという。まずは体を優先し、休学、退学も経験したAさん。現在、3度目の高校2年生をしているが、「学ぶことも多かったし、(病気の先に)道はあった」と明るく振り返る。

最初は低血糖の診断
もともと新学期が苦手だったAさん。中学2年になると朝、めまいや怠さなどがあって起きられず、朝食も食べられない状態となり「食べないまま受けた体育の授業はふらふらで、(授業開始・終わりの)起立・礼もつらかった」と言う。
親の仕事の都合で平日の受診が難しかったため、休日に空いているクリニックを訪れたところ、低血糖によるものと診断を受けた。医師の勧めで糖分補給用のラムネを学校で食べることもあったが、状況は変わらず、学校の養護教諭から専門医で診てもらうよう指導され、別の病院で小児科を受診した。
血圧測定などを経て、医師から「起立性調節障害に違いないと思うが、大きな病院で検査を受けるように」と言われ、県内の大学病院を受診。血液などの検査結果に異常はなく、同障害の診断が確定した。症状が出てから約半年後のことだった。
その後は、初めに同障害の診断を受けた小児科で治療を受けることに。自律神経の不具合で、起き上がっても血液が足元から上がっていかないために現れるさまざまな症状。「特効薬はない」との説明を受けつつ、血圧を上げる薬を処方された。「病名が付き、薬をもらった安心感はあった」と話すAさんだったが、やはり「薬の効果は感じられなかった」。

「まずは体」と言われても…
どの医師からも「学校は気にしなくていい。まずは体調を良くして病気と上手に付き合っていこう」と言われたという。しかし、「早く治そう」との焦りは拭えず、学校に行けないことを友人らがどう見ているのかも気になっていた。

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