春の高校日本一を争う全国選抜大会は今月、各競技で開催が本格化する。大分県内で24日開幕するハンドボールの本県女子は小山西が初の大舞台に挑む。新チーム発足後最初の公式戦ではライバルにダブルスコアで完敗。屈辱からスタートしたチームは何度も逆境を乗り越え、周囲の予想を上回る快進撃を続けた。全国切符をつかむまでの成長の軌跡に迫った。

屈辱からのスタート

 夏の全国高校総体(インターハイ)から約1カ月後の昨年9月、小山西は県南部新人大会で栃木女に現実を突き付けられた。1勝同士で迎えたリーグ最終戦で同世代の有力選手がそろう相手に17-35で完敗を喫した。

 2年生1人と1年生8人の計9人でスタートした新チーム。中学では控えだったり、高校から競技を始めたりした選手がほとんどだった。「全国にはほど遠い。相当頑張らないと苦しいぞ」。試合後、伊集院聖悟(いじゅういんせいご)監督は選手に対し覚悟を求めた。

 一方で指揮官はチームに大きな伸びしろも感じていた。2023年夏、30年ぶりとなるインターハイ出場を果たした小山西。1年生には先輩の活躍に憧れて入部した選手も少なくない。副主将の渡辺心彩(わたなべここあ)も「ここならいい環境でプレーできる」と入部を決めた一人。実力的に物足りなさがある一方、全国を志す9人には他校にも劣らない向上心と高い意欲があった。

 代替わりから日も浅く、対外試合の経験も乏しい中での敗戦は「こんなもんだろう」と割り切ることもできた。「高校生は取り組み方で変わる。『頑張れば絶対に変われるから』と言い続けました」。指揮官の言葉とともに、その挑戦は幕を開けた。

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