新天地へ「出発進行」 東武日光線下小代駅舎、ひき家工事佳境に
(2007年03月18日)

日光市小代の東武日光線下小代駅の駅舎が十七日、広場の向かい側にある隣接地へと、レール上をゆっくり移動し始めた。
「今に残る昭和初期の数少ない駅」として、「東武日光線下小代駅舎保存の会」(柴田智子会長)が保存を訴えてきたが、東武鉄道の理解を得られず、会が独自保存を決定。駅舎の無償提供の契約を東武と結び、駅前広場を挟み反対側の柴田会長宅の空き地へ移築を決めた。
駅舎は基礎を砕き、八十センチほどジャッキで浮かせ、十六日に向きを変えてレール上へ。レールと本体の間にコロが入れられて、この日午後、トラックに引かれて動きだした。「向きを変える作業が一番大変」と、施工する建設会社の五月女博社長(54)。
十八日にも約四十メートルの移動を終え、隣の“新天地”に落ち着くとみられる。現地を訪れた宇都宮大の小西敏正教授(建築学)は「柱の根本にやや傷みがある以外はしっかりしている。駅としての保存が最良だったが、できない以上、次善の策としては評価できる」と話した。会は今後、駅舎の活用の仕方を探っていく。
土台上に再移設、総仕上げの修繕作業開始 日光・東武旧下小代駅舎
(2007年06月14日)

【日光】ひき家工事でレール上を移動させ、仮移築されていた東武日光線旧下小代駅舎が、完成した土台の上に再移設され、保存へ向けた総仕上げとも言える修繕作業が始まった。
駅舎は「東武日光線下小代駅舎保存の会」が保存を訴えてきたが、東武鉄道の理解を得られず、会が独自保存を決定。約四十メートル先の桜の木の下に移設されていた。
これまでH鋼の上に載った状態だったが、コンクリートの基礎工事が五月に終了。今月に入って新しい土台も完成したため、十一日に十メートルほど北西に移動させ、土台の上に建物を移設した。
今後は傷んだ個所の修繕、補強作業を行い、基礎の周りには大谷石を張る予定。秋口までには保存した建物の具体的な活用方法が決まる見込みだ。現在、飲食店や展示場などのアイデアが出ているという。
東武日光線下小代駅、新旧駅舎が並び立つ
(2007年07月14日)

【日光】ひき家工事で移築された東武日光線旧下小代駅舎の跡地に、新しい駅舎がこのほど完成し、新旧二つの駅舎が並ぶユニークな光景が出現した。
東武鉄道によると、新しい駅舎は木造24.83平方メートルの無人駅。市からの要請を受け、「牧歌的風情のあるデザインにした」という。5月から工事を始め、先月末に使用を開始した。
一方、旧駅舎は「東武日光線下小代駅舎保存の会」が保存を訴えてきたが、同社の理解を得られず、会が独自保存を決定。ひき家工事で50メートルほど移動させ、現在は保存へ向けた修繕作業を行っている。
同駅の陸橋からは広場を挟んで並び立つ両駅舎の姿を見ることができる。
国の文化審議会が2009年3月、旧東武鉄道下小代駅駅舎について、登録有形文化財に指定するよう、文部科学相に答申した。
■旧東武鉄道下小代(しもごしろ)駅駅舎(建造物)
東武鉄道日光線が開業した昭和四(一九二九)年の建築。平成十九(二〇〇七)年まで駅舎として利用され同年、地元住民や有志による「同駅舎保存の会」=〇八年十一月解散=がひき家工事によって移築、修繕した。明治末期から標準化が進められた駅舎の典型例で、内外部ともに創建当時の状態を残す貴重な建築物。建築面積百三十九平方メートル。木造平屋、瓦葺(一部鉄板葺)
旧下小代駅舎が文化財登録 「長かった」「ようやく」 関係者ら安堵の表情
(2009年03月20日)
「長かった」-。旧東武鉄道下小代(しもごしろ)駅駅舎の保存運動が始まってから五年余り。運動にかかわった関係者は念願の文化財登録に、安堵(あんど)の表情を見せた。旧今市市の文化財保護審議委員会では否定的な見解が示されており、それを覆しての登録実現だった。
保存運動はたった三人で始まった。どれだけ価値があるかも分からなかった。だが文化庁に写真を見せ価値があることが判明。運動の輪は徐々に県外にも広がり「東武日光線下小代駅舎保存の会」は最終的に、八十人近くにまで膨らんだ。
しかし東武側の建て替えの方針は変わらない。こうした中、会側は独自にレール上を移動させるひき家工事を行い、駅舎の移築保存を実現させた。所期の目的を達成し、会は昨年十一月解散した。
元同会事務局長の木村顕(きむらあきら)さん(31)は「長かったですね」と感無量の様子。旧今市市文化財保護審議委員会が指定文化財に当たらないと結論付けたことに触れ「開示された文書を見ると『価値なし』とあった。そうした市の判断を覆せたのはうれしい」。
駅舎前には大きな桜の木があり、地元住民らが毎年、花まつりを行っている。会は解散したが、保存運動とともに始まったまつりは今後も残る。今年も四月十二日に予定しており、もちつきなどを行い文化財登録を祝う。
元同会理事長で小代さくら会代表の高橋国男(たかはしくにお)さん(71)は「ようやくという思い。ホッとしました。でも本当は現役の駅舎として使いたかったんですけどね」と話した。
駅舎前広場で花まつり 「保存活動は終わったが、小代のイベントとして定着させたい」
(2009年04月14日)

東武日光線旧下小代駅の駅舎前広場で十二日、「小代駅前花まつり」が開かれた。
花まつりは「下小代駅舎保存の会」が駅舎保存活動の一環として始めた。駅舎は移築修繕を終え、三月国登録文化財に登録。会は解散し、地元有志が「小代さくら会」を組織し、まつりを開催した。
桜吹雪が舞う中、バンド「LiLi」が演奏、古田佳子さんや栄久会が民謡を披露。出店も並び、にぎわった。同会代表の高橋国男(たかはしくにお)さん(71)は「保存活動は終わったが、まつりは小代のイベントとして定着させたい」。
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