かてぃんピアノ貸します―。

 人気ピアニストでユーチューバー「かてぃん」の名でも活動する角野隼斗が、コンサートで使っている特別仕様のアップライトピアノを無償で貸し出し、自由に演奏会を開いてもらうプロジェクトの企画の募集を始めた。コンセプトは「子どもたちに、音楽をつなぐ」で、プロジェクトの特設サイトで5月25日まで受け付ける。企業や団体、個人、誰でも応募できる。

 ピアノはスタインウェイ製で、弦とハンマーの間にフェルトを挟み、柔らかで繊細な音が特徴。前面は透明で、音が出る仕組みが一目で分かる。

 プロジェクトの副題「Piano for Myself(自分のためのピアノ)」にちなみ、角野は「ピアノと対話しているような感覚になってもらえたら。大きな音は出ないことがむしろ、自分とピアノだけのすてきな空間を生み出せる」と語る。

 第1期(2023年7月~2024年11月)は高校の音楽祭やイベント、国宝の寺院など9都府県の計17カ所に貸し出し、約3千人が演奏、約7千人の観客が訪れたという。

 「たくさんの人に弾いてもらえただけでなく、各主催者の創意工夫で活用され、ピアノを通して人と人とのつながりが生まれたこともうれしい」

 誰でも弾けるはずのストリートピアノをめぐっては今春、「練習は家でしてください」「誰かに届いてこそ音楽です」との“注意書き”がSNSなどで議論を呼んだ。角野は、この騒動に触れ「誰かに届かなくても音楽だと思う」と強調した。

 ピアノの前に座り、音を楽しむ。「(かてぃんピアノは)誰が弾いてもいいし、つっかえた演奏をしてもいい。誰もが弾けるハッピーな空間がこのピアノの周りにあればいいなと思います」

 貸し出しは2025年6月~2026年3月まで、最大2週間。

 プロジェクトの特設サイトのアドレスは以下の通り。

 https://cateenup.piano.or.jp/