コメ価格の安定に向けて手腕が注目される小泉進次郎農相。小泉氏の自民党農林部会長時代、後見人とも称された西川公也元農相(82)が25日、下野新聞社の単独インタビューに応じた。コメ価格の引き下げに意欲を示す小泉氏に対し、西川氏は「実現して国民の不満を解消してほしい」と期待を寄せた一方、「生産者や農業に痛みが出ないような配慮も必要だ」と注文を付けた。農相経験者としてコメ価格高騰に対する処方箋を語ったほか、若き日の小泉氏に送ったアドバイス、小泉親子との知られざるエピソードなども明かした。

取材に応じる西川氏=5月25日午前、さくら市馬場
取材に応じる西川氏=5月25日午前、さくら市馬場

 小泉氏は2015年10月、自民党農林部会長に就任。34歳の若さで、党内世論のまとめ役を担うことになった。当時、農政分野の経験が浅い小泉氏を支えたのが、党農林水産戦略調査会長や党農林・食料戦略調査会長を務めていた西川氏だった。農林族の重鎮で農林水産省にも影響力を持つ西川氏は、小泉氏と毎日のように連絡を取り、意思疎通を密にしていたとされる。

 当時の安倍政権はコメの生産調整(減反)の廃止や農協改革を推進。環太平洋連携協定(TPP)交渉や、その妥結に伴う国内対策が注目されていたこともあり、小泉氏と西川氏のツーショットの周りには報道関係者が集まり、二重、三重の人の輪ができることも珍しくなかった。

自民党本部で開かれた農林部会などの合同会議を終え、記者に囲まれる西川公也農林水産戦略調査会長=2015年10月27日、東京・永田町
自民党本部で開かれた農林部会などの合同会議を終え、記者に囲まれる西川公也農林水産戦略調査会長=2015年10月27日、東京・永田町

 両者の蜜月ぶりを物語るエピソードがある。派閥に属さず、時にアベノミクスを批判、同僚議員にも携帯電話番号を明かさないなど、一匹おおかみ的な存在だった小泉氏。そんな小泉氏が初めて参加した政治家の政治資金パーティーが、西川氏のパーティーだった。

 19年4月の栃木県議選さくら市・塩谷郡選挙区(定数2)では、出馬した西川氏の長男鎭央(やすお)氏の応援に小泉氏が駆け付けた。全国区の人気を誇る小泉氏が、地方の県議選の応援に入るのは異例だった。

 農政分野における小泉氏の「育ての親」とも言える西川氏は何を語ったのか-。インタビューの一問一答は以下の通り。

 -小泉氏が農相に就任した。政府備蓄米の5キログラム当たりの店頭価格を、6月初旬から2千円にすると表明して早速注目されている。

 「思い切った発言をしている。ぜひ成功させてほしい。(備蓄米の価格引き下げは)財務省の理解を得られたようだから、実現できると思う。ただ、政治家は消費者だけでなく、生産者も見なければいけない。消費者の不満を解消しながら、農家が意欲を持って生産し続けられるように気を配らなければいけない」 

 -農家は長らく米価の低迷に苦しんできた。5キログラム2千円の店頭価格に違和感を持つ生産者もいる。

 「表明までには相当な協議があったと思う。