栃木県の那須地域の有志でつくる団体「MAKE THE P’S(メイクザピース)」が直売所などに並ぶ漬物の復活に取り組んでいる。加工製造を担う個人が減っているためで、2024年6月の改正食品衛生法の完全施行で営業許可が必要となったことが背景にある。団体は希望する個人に加工場を貸し出して販売再開につなげるとともに、クラウドファンディング(CF)で活動資金の協力を呼びかけている。

団体は23年4月、規格外のために廃棄される野菜を買い取り、漬物に加工して活用しようと、地元の20~40代の有志約15人が結成。これまでに黒田原駅前映画祭など那須地区で行われる各種イベントに出店し、漬物を販売してきた。
今回の取り組みはメンバーの那須塩原市佐野、農業仁平仁(にへいひとし)さん(42)が、知り合い農家から「もう少し漬物作りを続けたかった」との声を聞いたことがきっかけだ。
直売所にはこれまで夏場はキュウリ、冬場はハクサイなど旬の野菜の漬物が並んでいたが、ほとんどは年配者が自宅などで余った野菜を加工したもの。改正食品衛生法で漬物を製造販売するには新たに保健所の営業許可が必要となり、専用施設を造るにも高額な費用を要するため、加工から手を引く人も少なくなかったという。
この状況を知った仁平さんは代表の寺子、会社員室井奈津美(むろいなつみ)さん(25)にも相談して団体の加工場を共用できないか相談。加工場は仁平さんの運営する佐野の農園「にへいふぁ~む」の敷地内にあり、23年3月に保健所の審査で営業許可を得ている。

CFは専用サイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で27日まで行われており、目標金額は30万円。冷蔵庫購入のほか広報費などに充てるという。
室井さんは「活動を通して、郷土の漬物の味を守りたい」と強調し、「廃棄野菜を減らすきっかけにもし、農家さんとウィンウィンの関係を築きたい」と意欲を見せている。