栃木県茂木町では夏場に2日間、町内の和菓子店で「あんころ餅」が一斉に売り出され、地域住民がその味を楽しむという珍しい風習がある。10日には町内5店舗と道の駅もてぎであんころ餅が店頭に並び、多くの客が買い求めた。1個130円、1日だけで計約3千個が売れる。

餅をこしあんで包み、ずらりと並べられたあんころ餅=10日午前10時55分、茂木町茂木
同町は葉タバコ栽培で潤っていた昭和の時代に和菓子店が15店舗ほどあり、菓子作りが盛んな時期があった。あんころ餅は戦後間もなく、城山公園に祭られていた薬師如来の6月11日の縁日で周辺の和菓子店が名産品として広め、それが今に続いている。
さらに町菓子組合も毎年7月の土用の入りの日に販売を開始。暑気払いや無病息災を願って食べる江戸時代の風習が浸透し、それが町の食文化として根付く。
同町茂木の「源太楼」では10日、石崎雅之(いしざきまさゆき)代表取締役(64)らが数百個を製造。初めて買ったというさくら市上阿久津、公務員高野嘉子(たかのよしこ)さんは「チラシを見て来た。食べるのが楽しみ」と話していた。土用のあんころ餅はこれから販売日が決まる。

