教員(左)や平石支援員(中央)とカード遊びを楽しむ生徒たち

 【宇都宮】不安や悩みなどを抱えて教室に入れない生徒たちをサポートする別室登校を充実させようと、市教育委員会は本年度、市内全中学25校に「校内教育支援センター」を開設した。開設に合わせ、各校に1人いる週3日勤務のメンタルサポーターを週5日勤務に変更し、専属のセンター支援員として配置した。市教育センターの飯田高広(いいだたかひろ)所長は「支援員が毎日、継続的に支援する体制をとることで、生徒が安心できる居場所づくりや将来の社会的自立に向けたサポートをしていく」と説明した。

 市内各中学校ではこれまで、空き教室や保健室などを活用した別室登校を実施。メンタルサポーターは週3日勤務のため、複数の教員が交代で対応する時間も長かったという。

 市教委は昨年度、陽西中や星が丘中など5校をモデル校に同センターの実証事業を実施。市教育センターによると、モデル校ではモデル校でない学校に比べ、別室登校の生徒が学校行事や教室の授業に参加できるようになる教室復帰率が1.5倍ほど高かったという。

 実証事業の結果を踏まえ、市教委は校内教育支援センターを全中学校に拡大。支援員が生徒一人一人の状況に合わせた心理面や学習面のサポートを行うほか、友人や教員とつながるための少人数の集団活動も充実させる。

 横川中では、空き教室と隣接する準備室を活用し、生徒に親しまれるよう「からふる」の愛称でセンターを設置した。今月9日は1、2年生計6人が登校。平石妙子(ひらいしたえこ)支援員(49)とカードゲームを楽しんだり、1人で学習に取り組むなど、思い思いに過ごしていた。

 中2の女子生徒(13)は「からふるに登校するようになり、周囲から明るくなったと言われる。平石先生はみんなをまとめてくれて、救世主のような存在」と笑顔を見せた。

 同校の加藤悦宏(かとうよしひろ)校長は「同じ支援員が毎日いることで生徒の安心感につながっている。今後も生徒に応じた柔軟な対応で、居心地のいい場所になるよう取り組みたい」と話した。