「自分たちのことを支持してくれるコミュニティーの人たちが喜ぶことを第一にやっていく」と話す二宮和也(撮影/Sai)

 「独断と偏見」を刊行した二宮和也(撮影/Sai)

 二宮和也(撮影/Sai)

 二宮和也の「独断と偏見」

 「自分たちのことを支持してくれるコミュニティーの人たちが喜ぶことを第一にやっていく」と話す二宮和也(撮影/Sai)  「独断と偏見」を刊行した二宮和也(撮影/Sai)  二宮和也(撮影/Sai)  二宮和也の「独断と偏見」

 人気アイドルグループ「嵐」の二宮和也が「独断と偏見」(集英社新書)を刊行した。嵐への思い入れ、アイドル観、性加害問題が死後に噴出したジャニー喜多川への怒りや旧ジャニーズ事務所からの独立まで、聞き書きで赤裸々に記した自身初の新書。刊行を記念して開かれた取材会で「純度が割と高めなものが作れたんじゃないかな」と胸を張った。

 「嵐」というグループは「僕から見える(自分以外の)4人なんです。あの4人が楽しそうにしていればそれでいいなという月日でした」と語る。来年5月に活動終了することについて「自分たちのことを応援してくださっていたコミュニティーの一人一人に感謝していきたい」と思いを込める。

 メンバーで本を読んだ感想を聞いてみたいのは相葉雅紀だという。「一番近しくしているし、僕の意見や他の3人の意見をくみ取り、みんなの意見が入る中間点をつくってくれる人。この人がなんて言うのかは気になる」

 本の中で、今一番会ってみたい人にジャニー喜多川を挙げ、性加害問題の被害者に「誠心誠意をこめて謝ってもらいたい」と書いた。取材では「あの人がそうやって人様に迷惑をかけずに生活してくれていれば、僕がずっと所属していた事務所はなくならなかったし、僕がこういう道をたどることもなかっただろう」と明確に怒りを表した。

 1999年のデビュー以来、一線を走り続けてきた。アイドルとして「ちゃんと相手の欲求を考えてあげるというか、かゆいところに手が届く存在でありたいと思っていた」。

 「『嵐』に関しては、応援してくださる方々のお父さま、お母さまが“両手放し”とまでは言わないけれど、『嵐のコンサートだったら行っていいよ』と。なんとなくその存在が安全安心で、応援する子どもがすごく楽しそうにしているものを提供できていたらいいなと常に思っている」

 出版のきっかけは長い付き合いの編集者から届いたメール。その編集者にステージ4のがんが見つかり「あなたの言葉をよく思い出し、励みとし頑張ってこられた。お守りとして一冊にしたい」という内容だった。自身の言葉が人を動かすとは考えてもみなかったが、編集者の言葉を信じ、取り組んだ。

 芸能人が言葉や考えをまとめるとき、成功談を語りがちだが「そもそも成功しているのか、まだファジー(あいまい)な状態にいる。(読んだ人が)持っておきたい言葉があればいいな」と期待する。

 2024年3~12月のインタビューを基に構成した10章立て。文字だけの表現を「しっくりくるところはありました。台本一つとっても、文字で情報を常に捉えていた人生でしたから」と語る。

 「僕自身は僕にそんなに興味がない。興味を持ってくれている人たちからの『こうした方がいいんじゃない?』というアドバイスで物事が進んでいる」とひょうひょうと話した。

(取材・文=共同通信 藤原朋子)