さまざまな事情から親元で暮らせない子どもを家庭的な環境で養育する里親制度に関連し、本県の2024年度末時点の「里親等委託率」が速報値で25・8%となり、2年連続で過去最高を更新する見通しとなったことが26日までに、県への取材で分かった。一方、国が29年度までに定める目標値とは開きもあり、里親登録数のさらなる増加が課題となっている。

 国は16年の改正児童福祉法で、虐待や貧困などを理由に親元での生活が難しい子どもを、里親やファミリーホームといった家庭に近い環境で優先的に養育する方針を明記した。各自治体も里親制度などを一層推進する方向に変わった。

 本県は23年度末に委託率が23・9%となり、過去最高を更新した。全国平均の25・2%は下回ったが、24年度末でさらに1・9ポイント上昇した。里親登録数の増加が伸びを支えている。

 

那須塩原にファミリーホーム 家庭に近い環境で養育

 国や自治体は、要保護児童を家庭に近い小規模な環境で養育することに力を入れており、拠点となるファミリーホームは県内でも少しずつ広がっている。那須塩原市のNPO法人「子どもの育ちを応援する会」は26日までに、県内4カ所目、県北唯一のファミリーホーム「LUMOS(ルーモス)」を同市東栄に開設した。親の死別や病気、虐待などさまざまな理由から親元で暮らすことが難しい子どもを預かり、里親経験者が養育する。施設側は県北での受け皿として地域全体で子どもを見守り育てる仕組みを目指す。

子どもたちのタオルなどを洗濯する吉成さん=6月上旬、那須塩原市東栄
子どもたちのタオルなどを洗濯する吉成さん=6月上旬、那須塩原市東栄

 ルーモスはJR黒磯駅近くの一軒家で、同NPO法人の吉成晴香(よしなりはるか)理事長(42)の実家を再利用した。吉成さん夫婦と長女、次男、4歳から14歳の里子3人の7人が生活を共にし、日々子どもたちの笑い声があふれる。