栃木県那須塩原市で6月末から、人がクマに襲われて重軽傷を負う被害が3件相次いだ。人を襲ったクマの行方はいずれも不明で、その後も那須地区ではクマ目撃情報が絶えない。被害抑止に役立ててもらうため、6月以降の那須塩原市内と、隣接する那須町内での出没情報をデジタルマップにまとめて「見える化」した。
※赤色は人的被害があった場所。表示地点は大まかな目安。
6月30日には那須塩原市埼玉の店舗兼住宅敷地内で同市、農業男性(73)がクマに後頭部や首をかまれ、35針を縫う重傷を負った。クマの体長は約1・5メートル。現場は民家や学校が集まる地域で、栃木県内の市街地でクマに人が襲われて負傷するのは初めてだった。クマは現場から立ち去り、行方が分からなくなった。
那須塩原市は2日後の7月2日、負傷事故の現場から約2キロ離れた黒磯北中の校庭で、クマのふんや足跡のようなものが見つかったと発表した。6月30日夜以降にクマが出没した痕跡とみられる。
7月6日早朝から午前にかけては、埼玉地区から西に約20キロ離れた同市塩原地区の山間部で高齢男性2人が相次いで襲われた。
午前5時半ごろ、同市上塩原、無職男性(85)は自宅庭先で作業中に背後から尻をかまれ軽傷を負った。クマの体長は約1メートルだった。
約5時間後には、北東に約3キロ離れた那須塩原市中塩原の山林内で那須町、会社員男性(77)が親子とみられるクマ2頭に遭遇。1頭にかまれるなどして頭や腕、脚を計30針以上縫う重傷を負った。クマの体長約1・7メートルと約1メートルだった。
相次ぐ被害を受け、福田富一(ふくだとみかず)知事は8日の定例記者会見で、国のガイドラインを踏まえて市街地での出没に備えた訓練を実施する考えなどを示した。