水泳の世界選手権は11日からシンガポールで、水球を皮切りに約1カ月間の熱戦を繰り広げている。飛び込みは26日、競泳は27日に初日を迎える。県勢は競泳男子の松下知之(まつしたともゆき)(宇都宮市出身、東洋大)、水沼尚輝(みずぬまなおき)(真岡市出身、新潟医療福祉大職)、飛び込み男子の須山晴貴(すやまはるき)(日本水泳振興会宇都宮)の3人が出場。競泳200メートル、400メートル個人メドレーでメダル獲得に期待がかかる松下は「特に400メートルは金メダルを狙う。あとは本番に調子を合わせるだけ」と自信をのぞかせる。

競泳の世界選手権を前に練習する松下=東洋大総合スポーツセンタープール、内藤大地撮影
競泳の世界選手権を前に練習する松下=東洋大総合スポーツセンタープール、内藤大地撮影

 400メートル個人メドレーでパリ五輪銀メダルの松下は3月の日本選手権を2種目とも自己ベストで制し、初の世界選手権切符を獲得。今大会の日本代表副主将にも任命された日本の新エースは「多くの経験を経て、一番は精神的に成長したと感じている」とこの1年を振り返る。

 6月上旬から1カ月弱、スペインで高地合宿を敢行。元来得意の自由形に加え、課題だった背泳ぎや平泳ぎといった前半の泳ぎを強化し「以前と同じ力感で、より良いタイムが出るようになった」と進化を実感している。

競泳の世界選手権を前に、東洋大の平井伯昌監督(右)と練習する松下=東洋大総合スポーツセンタープール、内藤大地撮影
競泳の世界選手権を前に、東洋大の平井伯昌監督(右)と練習する松下=東洋大総合スポーツセンタープール、内藤大地撮影

 本命の400メートルで、最大のライバルとなるのがパリ五輪4冠のレオン・マルシャン(フランス)だ。対抗するには、萩野公介(はぎのこうすけ)さんが持つ日本記録4分6秒05を更新するような好記録が求められる。「自分は大舞台や国際大会に強い。ぜひ注目してほしい」と語る。

 100メートルバタフライの水沼は日本選手権で派遣標準記録を上回る51秒47で準優勝し、2年ぶり4度目の出場。決勝進出を目標に据え「世界の決勝常連になれるようなレースにしたい。その先にメダルが見えてくる」と意気込む。

自身2大会ぶりの決勝進出を狙う競泳男子100メートルバタフライの水沼=7月3日、新潟医療福祉大
自身2大会ぶりの決勝進出を狙う競泳男子100メートルバタフライの水沼=7月3日、新潟医療福祉大

 日本選手権後は肉体強化に重きを置き「エネルギーのタンクを大きくするイメージで取り組んできた」。バタフライの精度は「大会直前で磨きをかけにいく」という以前とは違う調整に挑戦しており、これがはまればブダペスト大会準決勝でマークした50秒81の自己ベスト更新も狙えそうだ。

 飛び込みの須山は4度目の出場。3メートル板飛び込み、伊熊扇李(いくませんり)(日体大)との男子シンクロ3メートル板飛び込みにエントリーした。特に日本選手権のシンクロで記録した402・93点は世界でも上位レベル。新生ペアで初のメダル獲得に挑む。