希少な高山植物が自生する日光国立公園。日光白根山(2578メートル)を望む五色沼の周辺ではシラネアオイをシカの食害から守る地道な活動が続けられている。作業を担うのはアウトドア体験事業を展開する日光市のネイチャープラネット社。7月中旬、シカの食害を防ぐ電気柵の定期点検に同行させてもらった。

 代表の坂内剛至(さかうちたかし)さん(51)らと午前7時半過ぎ、標高約1600メートル地点にある群馬県片品村の菅沼登山口から目的地を目指した。

 しかしすぐに息が上がった。恥ずかしながら10年以上も運動と無縁。急斜面が容赦なく心拍数を押し上げる。15分たったところで「どのくらいまで来ましたか?」と坂内さんに尋ねると、「まだ聞くような段階じゃないよ」とかわされた。折れかけた心に気合を入れ続け、五色沼に到着したのは午前10時ごろ。ようやく作業に取りかかることができた。