520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故から12日で40年を迎える。兄一家3人を失った大田原市美原1丁目、橋本毅(はしもとたけし)さん(71)は毎年、現場となった群馬県上野村の御巣鷹の尾根へ慰霊登山を続けている。古希を超えて山登りは難しくなってきたが、遺族の1人として呼ばれるように現場へ足を運んでいる。どれほど歳月を重ねても悲痛は消えない。遺族が高齢化して少なくなる中、多くの人に現地で命の尊さを感じてほしいと願っている。
橋本さんが手すりを握りながら少しずつ登っていく。8月上旬、緑に覆われた御巣鷹の尾根。セミの鳴き声や川のせせらぎに時折、鐘の音が混じる。別の遺族が鳴らす墜落地点の「安全の鐘」だ。息を吐き、汗を拭う橋本さん。「あの日も今日みたいに暑かった」と記憶をたどった。

慰霊登山する橋本さん=8月上旬、群馬県上野村
2歳上の兄栗原崇志(くりはらたかし)さんは小さい頃から運動も学業も優秀で憧れの存在だった。当時33歳。大阪大でスポーツを研究していた。事故に巻き込まれたのは妻陽子(ようこ)さん=当時(29)、長女祥(さち)ちゃん=同(1)=と大田原市内の実家に帰省した帰りだった。
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