北海道に次ぐ全国2位の生乳生産量を誇る栃木県。だが総務省の家計調査で、宇都宮市の1世帯当たりの年間牛乳消費量は中位から下位をさまよっている。飲んで酪農家を応援したい-。そんな思いで今夏、県職員がチャレンジ企画「パック・トゥ・ザ・マウンテン」に挑んでいる。8月中に飲んだ牛乳パックの高さを合計して富士山の山頂と同じ高さを目指し、消費拡大の機運を高める狙いだ。8月は「県民牛乳消費拡大月間」。

 農林水産省によると、本県の2024年の生乳生産量は約35万トンで全国2位。1999年以降、本州1位を維持している。一方で、宇都宮市の1世帯(2人以上)当たりの牛乳消費量は過去10年、都道府県庁所在地と政令指定都市52都市の中で19~40位に位置する。

「パック・トゥ・ザ・マウンテン」の看板をPRする畜産振興課職員=8月上旬、県庁ロビー
「パック・トゥ・ザ・マウンテン」の看板をPRする畜産振興課職員=8月上旬、県庁ロビー

 酪農関係者は「本県の消費量が控えめなことは業界内でも指摘されているが、理由はつかめていない」と話す。少子化や飲料の多様化により、牛乳の消費量は1990年代のピーク時から減少。近年は飼料高騰や物価高も相まって、酪農家の経営環境は厳しさを増している。

 そうした中、県は23年度、学校給食の提供がなく、牛乳の需要が落ち込む8月と12月を「消費拡大月間」に制定。多種多様な施策を展開している。

 その一つが、県庁職員による「パック・トゥ・ザ・マウンテン」だ。1リットルの牛乳パックを25センチ、500ミリリットルを15センチとして計算し、高さを積み上げていく。

県庁ロビーに設置された「パック・トゥ・ザ・マウンテン」の看板=8月上旬
県庁ロビーに設置された「パック・トゥ・ザ・マウンテン」の看板=8月上旬

 男体山(2486m)を目指した24年度は、8月中に達成できず、12月に継続して取り組み“踏破”した。2年目の挑戦となる今回は、24年度実績の2565メートル地点からスタートし、富士山の頂(3776メートル)をゴールに据えた。