就職活動で学生優位の「売り手市場」が続く中、県内市町で職員の採用試験を早期化する動きが広がっている。本年度を含む過去3年間で25市町のうち12市町が試験を前倒ししたり、専門職を対象に早期試験を実施したりしていることが22日までに、下野新聞社の取材で分かった。民間企業との競合に対応するためで、早期化した市町の多くで受験者数が増える効果がみられている。

 これまで県内市町の採用試験は、現役高校生の就職活動が解禁される9月ごろに始まることが多かった。しかし複数市町で試験日が重複したり、大学生らにとっては民間に比べて日程が遅かったりするため、受験者数は減少傾向にあった。この流れに歯止めをかけようと、栃木、足利の両市では5年以上前から、土木など専門職に限り、一般事務職に先んじて5月ごろに試験を実施している。

 佐野市も同様に2023年度、専門職限定で早期試験を導入。24年度は日光や那須塩原、下野など8市町、本年度は大田原、矢板、那珂川の3市町が一般事務職などで早期化した。5月に前期試験を開始した大田原市では、一般事務職で昨年9月の倍以上の144人の申し込みがあり、同市総務課の担当者は「応募者数を見れば、早期化の効果はあったと言える」とみる。県も大卒採用枠の一部を年々早期化している。

 

 一方で残る13市町でも、検討する動きがある。鹿沼市は17年度以降、高校既卒者らを主な対象とする「第Ⅰ類」を2カ月前倒して7月から実施しているが、26年度にはさらなる前倒しに向けて検討を進めている。