県立高の男性教諭(38)が、勤務先の校内の女子更衣室に小型カメラを設置して盗撮したとして、性的姿態撮影処罰法違反(撮影)などの疑いで逮捕された。県警はトイレを含む十数カ所で20台以上のカメラを確認したといい、捜査を続けている。

 性的部位や下着などの盗撮は犯罪であり、性暴力である。いかなる状況下でも許されない。まして教育者が学校内で生徒を盗撮するなど、言語道断というほかない。学校や教師への信頼を揺るがす事態である。

 再発防止のため、県教委や学校、関係機関は、あらゆる手を尽くすべきだ。当該県立高の生徒への心のケアも、早急に行ってほしい。

 教員による児童生徒らの盗撮事件は全国で相次いでいる。6月には名古屋市立小の教諭らが女子児童の盗撮画像を交流サイト(SNS)で共有したとして逮捕された。

 文部科学省は7月初め、盗撮などの性暴力を防ぐため、教室やトイレ、更衣室などの定期的な点検を行うことなどを都道府県教委に要請。県教委も県立学校や市町教委に通知していた。

 その後、今月に入り、当該県立高の女子トイレなどで小型カメラが発見された。カメラのレンズは直径1センチほどで、天井の点検口の外枠に穴を開けるなどして差し込まれていたとされる。

 事件を受け、県教委は県立学校に緊急点検を行うよう指示した。私立校や市町の小中学校でも同様に点検する必要があるだろう。

 スマートフォンなどの端末による盗撮にも警戒しなければならないが、今回の事件で用いられたとされる小型カメラにも警戒が必要だ。1センチ未満のわずかな隙間にもしのばせることができることを想定し、日頃から目を光らせなければならない。

 性暴力を許さないという意識の醸成も重要だ。県教委は昨年4月、教職員懲戒処分の基準を一部改正し、下着や身体の盗撮を免職処分の対象とした。子どもと接する仕事に就く人に性犯罪歴がないか確認を義務付ける「日本版DBS」も2026年度に導入される。性犯罪歴には盗撮の前科も含まれる。

 なぜこのように厳罰化されたのか、現場は改めて考えるべきだ。学校は児童生徒が安全な環境の下、安心して学べる場所でなければならない。