宇都宮市と芳賀町を結ぶ次世代型路面電車(LRT)が開業から26日で2年を迎える。全国初の全線新設のLRTは順調に利用者数を伸ばし、19日には想定より半年早く1千万人を突破。先行開業した東側の好況は、JR宇都宮駅西側延伸への期待感につながっている。一方で市中心部を抜ける整備事業は課題が少なくなく、巨額を投じて進められる事業の行方が注目される。
LRTは2023年8月26日、宇都宮駅東口~芳賀・高根沢工業団地の約14・6キロ間で開業した。車両は17編成導入。停留場を含めてバリアフリーに対応し、100%再生可能エネルギーで運行している。先進的な取り組みは注目を集め、この2年で国内外から少なくとも600を超える自治体などが視察に訪れた。事業費は684億円。

市は東側から直通で西側へ延伸する計画を進める。同駅東口からJR線を横断し、同駅西口を経て県教育会館までの約4・9キロ。東側と比べ3分の1の距離だが、物価高騰などの影響で概算事業費は700億円程度と、東側を上回る試算が示されている。
JRの新幹線と在来線の間を通す立体交差や、軌道を敷設する大通りの地下に集中するインフラの移設といった工事を控える。道路拡幅に伴う用地補償も必要で、当初想定よりも対象が増えたことなどから、市は今月、予定した30年開業を延期する方針を示した。
28年中の着工を目指し、事業認可に必要な軌道運送高度化実施計画を今年10月に国へ提出する予定だ。
国も自治体などによるLRT整備を推進する中、両市町のLRTは持続可能なまちづくりの中核を担う交通手段として存在感を高めている。