天皇、皇后両陛下は26日、那須町の那須御用邸付属邸に入り、太平洋戦争末期に激戦地となった硫黄島(東京都小笠原村)から強制疎開で本州に渡った同町在住の元島民女性2人と懇談された。米軍の軍艦が島に押し寄せる中、命からがら故郷を離れて本県にたどり着いた2人の話に耳を傾け、苦難の人生をねぎらった。

両陛下が静養に入る予定に合わせ、渡部敦子(わたべあつこ)さん(95)=那須町高久乙、原(はら)ヤイ子(こ)さん(94)=同高久甲=との懇談の場が設けられた。両陛下は戦後80年に際し、4月に硫黄島を初めて訪れ、戦没者を追悼している。
約45分間にわたった懇談の中で、渡部さんは「アメリカの船が(島の周りの海を)取り囲んで真っ黒。でも(疎開用の)軍艦は赤十字の旗を掲げていたので、攻撃されず助かった」などと生き延びた記憶をたどり、いとこら島に残った身内8人が亡くなったことなどを伝えた。
両陛下は相づちを打ちながら熱心に聞き入り、「つらい思いをされましたね」「大変でしたね」などと声をかけ、2人の思いに寄り添った。
「硫黄島忘れないで」 渡部さん、原さん願う
太平洋戦争末期に強制疎開で戦火を生き延びた硫黄島元島民の渡部敦子(わたべあつこ)さん(95)=那須町高久乙=と原(はら)ヤイ子さん(94)=同高久甲=は26日の天皇、皇后両陛下との懇談で、豊かだった島での生活の思い出や那須町に入植した後の苦労なども話した。4月に両陛下が慰霊のために島を訪れたことに対して感謝の思いも伝え「これからも硫黄島のことを忘れないでいてほしい」と願った。
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