宇都宮市の新4号国道で2023年2月、時速160キロ超とされる乗用車に追突されて死亡した同市、会社員佐々木一匡(ささきかずただ)さん=当時(63)=のオートバイが26日、保管先の宇都宮南署から妻多恵子(たえこ)さん(60)に返還された。大破した夫のオートバイが約2年半ぶりに戻ってきた多恵子さんは「事故を想像してしまい、あまり見たくないが、一匡さんとつながりがある物なので手放せなかった」と複雑な思いを語った。
多恵子さんは同日午前、署敷地内で署員から小型のオートバイ本体と破片などが入った袋を受け取った。オートバイは追突の衝撃でシートが前方のハンドルに触れるほど折れ曲がり、後輪はパンクしてホイールが砕けていた。オートバイは知人らがトラックに乗せ、同市内の倉庫へ運んだ。
事故の数年前、中型オートバイに乗っていた一匡さんに対し、多恵子さんはスピードが出るので危ないと考え、小型に乗り換えるよう伝えていた。「(小型の)このオートバイに乗り換えなければ、追突されず走行できたのでは…」と後悔を口にした。
証拠品として署で保管されていたオートバイは、事故数カ月後には返却可能な状態だったが、保管場所の確保などの事情で引き取りが遅れていた。
事故を巡っては、宇都宮地検が23年3月に車を運転していた男を自動車運転処罰法違反の過失致死罪で起訴した後、24年10月に危険運転致死罪への訴因変更を請求。宇都宮地裁が認めた。変更前に初公判が開かれたが、第2回はまだ開かれておらず、争点などを話し合う手続きが続いている。
保釈中だった男は7月、無免許運転の罪で追起訴された。多恵子さんは「もう一度自分がどんな事故を起こしたのか考え直してほしい」と改めて怒りを見せた上で「公判が長引くほど遺族も被告も苦しい時間が続く。早く日程が決まってほしい」と願った。
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