関東・東北豪雨で土砂が流出した地区の渓流。「今も大雨の度に土砂が流れてくる。災害がまたいつ起きるか不安が尽きない」と話す渡辺さん=8月下旬、日光市芹沢

 県内に初めて大雨特別警報が発令され、県内で死者3人、6千棟以上の住宅被害があった関東・東北豪雨から間もなく10年。県内はその後も豪雨被害が相次ぐ。10年前に浮かび上がった課題はどう教訓となって生かされているのか。現状を探った。

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 日光市中心部から北へ直線距離で約30キロ。五十里湖を沿うように走る国道121号を脇に入ると、21世帯が暮らす芹沢地区に着く。川は護岸工事で補強され、この10年で整備された7カ所の砂防ダムがそびえる。自治会長渡辺亨(わたなべとおる)さん(70)は「安全と引き換えに景色が随分変わったよ」