「昭和100年 東京回顧版画展」のチラシ

 【鹿沼】市川上澄生(かわかみすみお)美術館で13日から、企画展「昭和100年 東京回顧版画展」が始まる。今年が「昭和100年」に当たることから、版画家の目を通した首都東京の変遷を紹介する展示。昭和初期に関東大震災からの復興を写し出した川上澄生(1895~1972年)らから令和の若手作家まで24人を取り上げ、前後期で計66点を披露する。11月24日まで。

 1929年から刊行された版画集「新東京百景」は、23年の関東大震災から復興し変貌する東京の風景を8人の版画家が描いた。8人は、絵を描き彫って刷る工程を1人で行う創作版画に取り組んでいた。川上もその一人で、同版画集には「銀座」「青山墓地」など12点がある。

 「東京はその後も大空襲や東京五輪、バブル景気といった世の中の大きな波と共に姿を変え、今なお変わっている」と斎藤千明(さいとうちあき)館長。今回は「新東京百景」の作品に留まらず、現代の作家までを取り上げることにした。

 平成の東京を写した版画として取り上げるのは、89~99年に日本版画協会が刊行した版画集「東京百景」の中の作品。同版画集は、当時を代表する版画家、画家、彫刻家ら100人が1人1点ずつ制作している。令和の若手作家では、コイケジュンコさんら2人を取り上げる。

 変貌する東京と対照的に、自然豊かな変わらない県内の景勝地を描いた「神橋」など、川上の名所絵も展示する。

 関連イベントとして、斎藤館長が講師を務める作品鑑賞会が28日午前11時~11時半に開かれる。同展チケット(一般300円など)が必要。前期は10月19日まで、後期は同22日から。休館日は祝日を除く月曜と、祝日の翌日。(問)同館0289・62・8272。