大相撲秋場所の番付が発表され、7月の名古屋場所で十両優勝した三田(みた)(大田原市出身)は西11枚目から同4枚目に上がった。14日に初日を迎える秋場所の成績次第では、11月の九州場所で新入幕も見えてくる。県勢の幕内力士となれば、2019年の前頭貴源治(たかげんじ)以来だ。本県相撲ファンの声援で秋場所での三田の躍進を後押ししたい。
ここまで、けがはあったが順調と言っていい。24年秋場所の初土俵から4場所で十両昇進。新十両で迎えた今年の夏場所は勝ち越したものの、13日目に左手の骨折で惜しくも休場した。しかし続く十両2場所目の名古屋場所では大躍進してみせた。身長173センチ、体重124キロと決して大きくない。大柄な十両力士と渡り合ってこられたのは本人の鍛錬のたまものだろう。
快進撃にたがわぬ大器との評価もある。黒羽高3年時に世界ジュニア選手権中量級で優勝し、学生相撲の名門、近大では主将を務めた。
大相撲は、大(おお)の里(さと)が師匠の稀勢(きせ)の里(さと)(現二所(にしょ)ノ関(せき)親方)以来8年ぶりに日本出身で横綱昇進を果たし、名古屋場所では豊昇龍(ほうしょうりゅう)と4年ぶりに東西横綱が並び立つなど、活況を呈している。三田にはぜひ近い将来、幕内での優勝争いに割って入ってもらいたい。それにはとにかく厳しい練習とけがをしない体づくりだろう。
幸い、所属する二子山(ふたごやま)部屋には良きライバルがいる。左膝のけがで休場中の生田目(なばため)(さくら市出身)は大田原市市野沢小の同級生だ。現在は幕下で三田より先に入門、十両昇進を果たし「良い刺激になっている」とその存在を互いに認め合っている。生田目もまずはしっかりけがを治し、2人ともさらなる活躍へ切磋琢磨(せっさたくま)してもらいたい。
2人と共に一時十両に名を連ね、現在は幕下である常盤(ときわ)山(やま)部屋の若(わか)ノ勝(しょう)(宇都宮市出身)も含め、3人は生粋の本県出身力士。三田、生田目は23歳、若ノ勝は22歳といずれもまだ若い。前途有望な郷土力士の存在を、誇りに思っている県民は少なくないはずだ。
新入幕を目指す三田にとって、相撲はこれまで以上に厳しいものになるに違いない。秋場所の会場は東京都墨田区の両国国技館。多くの県民が会場へ足を運び、直接エールを届けてほしい。土俵上で何よりの力になるに違いない。