【茂木】町内で唯一現存する県指定無形民俗文化財の伝統行事「河井のささら」が15日、河井の八幡宮(はちまんぐう)と長寿寺で行われる。子どもが舞う獅子舞として希少な文化財だが、深刻化する少子化の影響で昨年は中止となった。十数人必要な役者の確保に奔走してきた関係者は「何とか開催までこぎ着けた。今後も頑張りたい」と伝統の継承を願っている。
河井のささらは平安時代後期、「後三年の役」に源義家(みなもとのよしいえ)が奥州征伐に向かう途中、お供の長寿姫との別れを惜しみ、戦勝と五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈願した伝承に由来する。現在は地元の「河井獅子舞保存会」が継承に尽力している。
本来、役者は獅子、瓢(ふくべ)など5役で小学生以下の子ども13人が必要。しかし河井地区の上、中、下三つの行政区が順番で行っていた1960~70年代に計10年間、新型コロナウイルス禍に2年間、昨年は役者不足で中止を余儀なくされた。ここ数年は役の数を減らした上で行政区に関係なく子どもを募り、役に空席ができてもやりくりをしている。
今年は3~12歳の11人を確保し、7月下旬から毎週日曜の夕方に練習を重ねてきた。主役の獅子役を担う中川小6年為永心晴(ためながこはる)さん(12)は「練習してきた成果をしっかり出し、悔いが残らないように踊りたい」と話す。
来年は再び子どもが減るため開催が危ぶまれる。保存会の服部公一(はっとりこういち)会長(77)は「ささらは地域の連帯感をつくってくれる。コミュニティーを維持するためにも続けたい」と継続への思いを強調。奉納を仕切る上組の間宵理和(まよいまさかず)区長(71)は「役者はそろったが、終わるまで気は抜けない」と引き締めた。
15日は午前10時半から、八幡宮境内で関係者のみが参加しての奉納が行われ、その後、午後2時から長寿寺で一般向けにささらが披露される。