朝、テレビをつけていたらオーディオブックのCMが流れました。
オーディオブックというのは、「書籍を朗読したものを録音した音声コンテンツ」だそうです。
私は本を手でパラパラめくって読むのが好きなので(ゆえにデジタルブックもあまり読まない)、「オーディオブック」の存在を知っても「そういうのがあるんだ」と思うのみでした。
読書好きの知人がオーディオブックに一時期ハマったので、感想を聞いてみたら「飛ばし読みができないので、好みが分かれると思います」とのこと。
私は「飛ばし読み」「パラパラ読み」「ざっと読み」をするタイプ。知人の話が頭にあったのでオーディオブックは未体験でした。
ちなみに「ハラハラドキドキ」が苦手なので、ミステリーはまず最初にラストを読んで犯人を確認してから読むことにしてます。
そんなとき、小学館の担当編集者さんから連絡が。
「『百年厨房』をオーディオブックにしませんか」

念のため説明しますと、『百年厨房』というのは私のデビュー作。石の街・宇都宮市大谷地区を舞台に、冷やしコーヒー、レモンみるく、ミルクセーキ、甘露梅、チタケうどんなど、大正時代の幻メニューや栃木県の郷土料理などがキーアイテムとして登場する話です。
第3回「日本おいしい小説大賞」受賞作でありまして、2022年4月に小学館から単行本が出版され、2024年11月に文庫化されました。
担当さんによりますと
「朗読なので、ラジオドラマとは違いまして、演出やセリフの抑揚は抑えめです」
朗読が好きな方が聴いてくださるかも。一人でも読者さんが増えてくれたら嬉しいなぁと、お願いすることにしました。

話が進みだすと気になるのが、「ナレーターはどなたか」。
『百年厨房』は男性主人公の一人称小説なので、男性のナレーターだろうなぁ。どなたかなぁと、ぼんやり考えながら日々は過ぎていきました。
数か月経ち、担当さんからメールが。
「ナレーター候補の方のお名前とサンプル音源をお送りしますので、ご意見をどうぞ」
なんと、選ぶことができるとは。
メールにあった三人のお名前は、全員女性でした。なるほど、一人称の性別には縛られないんだ。
気合を入れて、実際に聴いてみることにしました。どうやって選ぶかは、きっと作家さんそれぞれなのだと思いますが、私は「直感勝負」!
なぜか「さ行」と「ら行」の発音が気になるタイプでして、それらの発音が私のツボにハマった方のお名前をメールに書き、返信しました。

さらに数か月が経過し、担当さんからついに最後のメールが。
「音源が完成したので、内容を確認してください」
1.2GBあった音声データは、9時間弱。
一冊まるまる朗読を聴くというのも初めてなら、自分の本をプロのナレーターに朗読していただくというのも初めて。
ドキドキしながら聴いてみると…。
「世界がまるっきり違う!」
本は平面的な世界。
しかし、ひとたび朗読されると世界は起立し、奥行きが出る!
ラジオドラマとはまた違う世界に、想像の翼がはためいていくような。
お初の体験に、衝撃でした。

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このオーディオブックは10月1日から、Amazon Audibleやaudiobook.jpなど、オーディオブック配信ストアにて配信されます。
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