30日まで実施されている秋の交通安全県民総ぐるみ運動では、県警が誇る高級スポーツカーのパトカー、“スーパーパトカー”が県内各地に登場し、ひときわ目を引いている。NSX、フェアレディZ、GT-R、レクサスLC500。全国でも珍しい4台はSNS(交流サイト)で人気を呼んでおり、イベントには県内外から多くのファンが集まる。スーパーパトカーに込められた改装のこだわり、メンテナンスの苦労、関係者の思いを探った。

県警によると、県警が所有する現役のスーパーパトカーは、ホンダから2000年に寄贈を受けたNSXが一番の古株だ。07年には日産自動車からフェアレディZが寄付された。両社の工場が県内にあったことが縁となった。
18年には栃木市在住の会社役員男性から日産のGT-R、20年にトヨタ自動車の高級ブランドであるレクサスのLC500が寄贈された。なお、会社役員男性は、ハーレーダビッドソンのトライク(三輪オートバイ)とオートバイも寄付している。
全国で県警しか所有していない型式もあり、非常に豪華なラインアップだ。NSX、フェアレディX、GT-Rは高速隊、レクサスLC500は交通機動隊に配備されている。広報啓発イベントへの参加依頼は引きも切らず、通常のパトロールに出ることは少ないという。
白黒の塗装にはこだわりがあった。例えば改装費も含めて約1740万円のレクサスLC500。ボンネットが長い「ロングノーズ」を強調するため、通常のパトカーは白と黒を「5対5」の割合で塗り分けるところ、白の割合を大きくした。

白の黒の境目は、車体のデザイン性や空力を高めるために特徴的に施された「プレスライン」と調和するよう塗り分けた。パトカーでは非常に珍しい外装という。当時の担当者は「多くの人の目に留まらせ、交通安全を意識するきっかけをつくりたかった」と思いを明かした。

日々のメンテナンスも欠かせない。「毎朝、エンジンをかけるなど必ず動作確認をしている」と説明してくれたのは、高速隊管理係の長塚朋也(ながつかともや)警部補。特に気を使うのは、20年以上稼働しているNSX。エンジンの経年劣化に加え、部品が製造停止となっているため修理が難しくなっているという。
長塚警部補は「長年、県警全体で大切にしてきた。誇りを持って管理している」と胸を張る。春や秋の交通安全運動の前にはワックスをかけ直して、ピカピカにしている。

交通安全運動期間中の展示場所や日時は、県警の公式SNSで発信している。交通企画課の小林昌巨(こばやしあつお)次長は「注目度はかなり高い。目にした人たちの交通安全意識の向上につながってくれれば」と期待を寄せる。
県民や関連企業から預かった善意を受け継いできた警察官たちの交通事故ゼロを目指す思いを乗せて、スーパーパトカーは今日も県内各地へ出動する。
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