豪雨災害から10年がたち、悦史さんの墓前で手を合わせる裕子さん=27日午後3時、日光市内

佐藤悦史さん(遺族提供)

豪雨災害から10年がたち、悦史さんの墓前で手を合わせる裕子さん=27日午後3時、日光市内 佐藤悦史さん(遺族提供)

 「声は聞こえないけど、近くにいるのをずっと感じている」。2015年9月の関東・東北豪雨で、長男悦史(よしふみ)さん=当時(25)=を亡くした日光市岩崎、中学校講師佐藤裕子(さとうゆうこ)さん(64)は、突然の別れからの10年をそう話す。排水管に流された息子の事故。今年を節目ととらえ、ずっと避けていた現場を初めて訪れ、手を合わせた。息子が最後に頑張った場所を見たいという思いだった。教師として子どもたちに命の大切さを伝え続けてきた。新しい朝を迎えさせてくれてありがとう-。悦史さんに感謝し、毎日を送る。

 台風や低気圧の影響で県内に初めて大雨特別警報が発表された豪雨災害。日光市内も記録的な大雨に襲われた。15年9月10日、悦史さんは勤務先の福祉施設で、排水管に詰まったごみの除去作業中に流された。救助されたが意識はなく、翌11日に亡くなった。

 「責任感が強く、弟や妹の面倒見が良かった」。