中学校の部活動の地域移行を進めるため、県教委が設けた「県部活動指導員・地域クラブ活動指導者バンク」の登録者が180人に達した。これまでに市町教委などから延べ62人の照会があり、11人をマッチングした。

 部活の地域移行では指導者の確保は課題の一つで、マッチングを果たすには登録者数が多いに越したことはない。県教委は登録者増に向け、指導者講習会などさまざまな機会を通じてバンクの存在を広く周知し、さらなる人材発掘につなげるべきだ。

 バンクは2023年9月に開設された。今年7月時点で、運動部135人、文化部45人が登録している。県教委はリストを公開し、市町教委や地域クラブなどが求める人材とのマッチングを図っているが、時間帯など条件が合わず11人にとどまっている。

 登録者数に関して、県教委は「まだ足りていない」としており、さまざまな条件に合うように多様な人材を増やしたい考えだ。これまでも取り組んできた県スポーツ協会の講習会参加者らへのPRをさらに強化したい。地域クラブ側も、登録人材の活用を前向きに考えてほしい。

 部活の地域移行に関し、県教委は「とちぎ部活動移行プラン」を策定し、23~25年度で取り組んでいる。その中で、25年度末までに全ての公立中の休日部活動を一つ以上、地域クラブに移すことを目標に掲げている。今年3月時点で52%(79校)だったが、バンクの活用もあり25年度末には9割を超える見込みだという。

 地域移行は、生徒が主体的に多様なスポーツ・文化芸術活動に親しむ環境を整えることが目標だ。そのためには地域の理解と協力が欠かせない。理解を求める一層の努力とともに、学校を含めた地域全体で環境を整備するという機運の醸成も必要だろう。

 国は31年度までに、休日の部活動の完全地域移行を目指すとしている。地域移行は指導者の確保のほか、受け皿となる運営団体の整備充実、受益者負担への理解などが課題となる。参加費用に関しては、生活困窮世帯の生徒に対する支援の在り方も検討項目として挙がっている。

 これまでの取り組みで、こうした課題がどの程度解消されたのか整理し、課題解決に向けた道筋を示すことも求められる。