国史跡下野薬師寺跡や下野国分寺跡などがあり、古代の文化財を活用したまちづくり「東の飛鳥プロジェクト」を進める下野市と、高松塚古墳や飛鳥宮跡など日本を代表する古代の史跡が数多く現存する奈良県明日香村は9月29日、歴史などを通じた交流や災害時の支援といった項目を盛り込んだ包括連携協定を締結した。直線距離で約420キロ離れた両市村が育んできた縁。同村で行われた締結式後に行われた史跡の視察に同行するとともに、協定締結の意義について関係者に話を聞いた。

協定締結式で握手する下野市の坂村市長(右)と明日香村の森川村長
協定締結式で握手する下野市の坂村市長(右)と明日香村の森川村長

 明日香村役場から車で東へ5分。国指定特別史跡「石舞台(いしぶたい)古墳」へと向かう。古墳をいざ目の前にするとその大きさに圧倒される。同古墳は墳丘の盛り土がなく、巨大な石がむき出しになり、最も大きな天井石は推定77トンもあるという。古代の人々が重い石をどのように運んで造り上げたかを想像するだけでため息が出た。

巨大な石が積み上がった石舞台古墳
巨大な石が積み上がった石舞台古墳

 次に四神(しじん)像の壁画がすべてそろった状態で現存する「キトラ古墳」へ到着。四神とは古代中国に始まる、東西南北それぞれの方位をつかさどる神獣のことだ。下野市のシンボルマーク「東の飛鳥」にもなっている「青龍」(東)をはじめ、「白虎」(西)、「朱雀」(南)、亀と蛇の「玄武」(北)が石室に描かれている。

原寸大に復元されたキトラ古墳石室模型
原寸大に復元されたキトラ古墳石室模型