今回の話題は、宇都宮CCで毎年8月に開催される県親善都市対抗ゴルフ大会だ。
「都市対抗」と聞くと、東京ドームで開催される伝統の野球大会を連想する方が多いかもしれないが、ゴルフのチーム戦だ。1969年に産声を上げ、今年で57回目を迎えた。本県アマゴルフの最高峰、県知事盃は66年にスタートだから、ほぼ同じ頃に始まった歴史ある大会だ。
現在の主催者は同CCだが、当初は宇都宮市体育協会ゴルフ部だった。88年の第20回大会から同CCが引き継ぎ、今に至っている。競技方法は変わってきたが、現在は1チーム6人構成で上位4人の合計でグロス、ネットを競う。87年の第19回からシニアの部が誕生した。
現在はエントリーすれば出場できるが、古くは予選を突破しなければ本大会には出場できなかった。ゴルフの競技力向上と親睦を目的とするが、「市民ゴルフ場」的意味合いの強かった宇都宮CCの夏の誘客対策として、元宇都宮市長で宇都宮ゴルフクラブの佐藤和三郎(さとうわさぶろう)会長の発案といわれている。
驚くのが、優勝をはじめ上位チーム、選手に与えられる賞の称号。グロス優勝チームは知事杯、2位は衆議院議長杯、3位は衆議院副議長杯。ネット優勝チームは県市長会会長杯、2位は県議会議長杯、3位は市議会議長杯だ。そして個人ベストグロスには内閣総理大臣杯が与えられる。市長を1947~67年の5期務めた佐藤会長が、政治力を使って獲得したものかは定かでない。いずれにしても、現在では申請したとしても、なかなかもらえない称号である。


第1回は宇都宮の1~4区と佐野、小山、鬼怒川などが参加した。都市対抗だから、地域性が強いのは当然だ。しかし鬼怒川、都賀など、ゴルフ場単位と推測できるチームも多い。今年のグロス優勝チームは県を代表するアマ、張田巧(はりたたくみ)を擁する『SHANK’S』。地域を背負っているチームは少なくなり、仲間による編成が多くなっている。
歴代優勝チームのメンバーを見ると、県知事盃覇者がずらり。竹中十良雄(たけなかとらお)(第2回)、池頭嘉弘(いけがしらよしひろ)(第5回)、富田昇吾(とみたしょうご)(第8回など4度優勝)、若林新平(わかばやししんぺい)(第22回)、関口幸雄(せきぐちゆきお)(第23回)、歌川康広(うたがわやすひろ)(第40、47回)、日向(ひゅうが)和弘(かずひろ)(第33回など3度優勝)などがいる。鬼籍に入ってしまった方もおられるが、県知事盃優勝者で出場していない選手の方が少ないくらいに真剣勝負の場ともなっていた。
トピックスとしては、第2回に宇都宮3区のメンバーとして大井道夫(おおいみちお)が出場している。宇都宮工のエースとして夏の甲子園準優勝を果たした左腕だ。日本文理高(新潟)を夏12度、春5度甲子園に導いた監督でもある。県ゴルフ連盟初代理事長の池田義男(いけだよしお)も選手として出場している。
スコアでは第46回で金浩延(きんひろのぶ)がたたき出した65がベスト。1イーグル5バーディーの内容だ。TEAM KUMEのメンバーだったが、この金の貯金で団体戦は360ストローク(5人)のパープレーというスコアを刻んでいる。当時は驚きのスコアだったが、今年の『SHANK’S』は平均スコアが71・5だから確実にレベルは上がっている。
長年出場している近藤一之(こんどうかずゆき)は「昔は都市対抗らしかったが、今は“仲間戦”となっている。でもチーム戦は少なく、実に面白い」と大会にぞっこんだ。

都市対抗と同様に団体戦の高校OBゴルフ大会は76年に始まり、93年で終了している。最初は宇都宮と宇都宮商の対抗戦のようだったが、宇都宮工、鹿沼商工、作新、足利、栃木、大田原、矢板、宇都宮東などが加わり、宇都宮CCなどで開催されていた。持ち回り幹事制で、担当幹事の不手際などで消えた経緯があるという。17年に及んだ大会が消滅したのは非常に残念だ。
0Bが母校の名誉を懸けて戦う競技は、県内で他に聞かない。都市対抗と並ぶゴルフ振興の柱として復活しないだろうか。女子高OGの参加もあればいい。手を挙げる幹事の出現を期待する。