破砕機にナシを投入する渡辺社長(右)

 【大田原】日本酒「旭興」のブランドで知られる須佐木の渡辺酒造で5日、市産ナシを使った果実酒の仕込み作業が始まった。

 市は3月下旬、国の構造改革特区計画「おおたわら果実酒特区」に認められた。市産のナシ、イチゴ、ブルーベリーを原料とした果実酒を市内で製造する場合の年間最低製造数量基準が引き下げられ、小規模の醸造が可能になった。同特区を活用して果実酒製造を行うのは、同酒造が初めて。

 この日は、規格外を中心とした「にっこり」約600キロを用意。洗浄後、機械を使って破砕し、果汁を搾るための布製の袋に次々と投入していった。今後は酵母を入れて発酵させ、年内から年明けにかけての完成を目指すという。果実酒375ミリリットル入りで1200円程度(税抜き)での販売を予定している。

 渡辺英憲(わたなべひでのり)社長(52)は「特区に認定されて新たな挑戦ができる」と感謝し「規格外の果物はさまざまな形で活用されているが『大田原市産』というブランドは消えてしまっていた。お酒を媒体にして特産品をPRし、市の知名度を向上させていきたい」と意気込んだ。