追悼式を終え、戦死したそれぞれの父への思いを語り合う菅谷さん(右)と小堀さん=10日午前、沖縄県糸満市摩文仁

 栃木の塔で10日に行われた本県出身南方方面戦没者追悼式には、戦争で父を失ったさくら市富野岡、小堀勝子(こぼりかつこ)さん(81)と同市氏家、菅谷貴美子(すがやきみこ)さん(83)が初めて参列した。80年の年月を感じながら遠い異国に眠る父に沖縄から思いをはせ、戦争の記憶を風化させない大切さを改めて胸に刻んだ。

■父の無念に思いはせ 小堀さん

 「すっきりした。自分の心も終戦を迎えられたかな」。初の追悼式参列を終え、小堀さんは沖縄の雨空を見つめ、つぶやいた。

 西部ニューギニアに出征した父岩崎弘(いわざきひろし)さんはマラリアにかかり、1945年5月、現地の野戦病院で生を絶たれた。31歳。出征時、小堀さんは母親のおなかの中にいた。弘さんはまだ見ぬわが子を案じながら、顔を見ることも、腕に抱くこともかなわなかった。