健康増進への意欲を高めるきっかけをつくる県の「とちまる健康ポイント(とけぽ)」事業が本年度、リニューアルされた。歩数に応じてポイントを付与する従来の方式から、県内各地に設けたウオーキングコース「とけぽロード」のスタンプを集める方式に変わった。
設定されたコースに行かなければならないため手軽さがなくなったとはいえ、利用者を増やせるかが課題だ。まだ十分に周知されている状況ではなく、県はさまざまな機会を通してPRし利用を促す必要がある。さらに、主要ターゲットと言えるウオーキングや健康に無関心な層が目を向ける方策を検討すべきだ。
事業は2019年、スポーツ庁配信のアプリを活用する形で始まった。ピーク時(22年5月)は約1万2千人の利用者がいたが、今年5月には約5千人に減少していた。
アプリは6月末で配信が終わることとなり、県は後継となる仕組みを検討。7月から無料通信アプリLINE(ライン)の県公式アカウントを活用する方式にリニューアルした。
県内25市町に「とけぽロード」を各1カ所設定し、各施設の入り口や掲示板に設置された2次元コードを読み取りスタンプをため、県産品などが当たる抽選に応募する仕組みとなった。現在の利用者は延べ900人程度だという。
単純比較はできないが、リニューアル前に比べ利用者が少ないのは事実だ。事業自体はもちろん、ウオーキングなど運動の重要性について、ホームページや交流サイト(SNS)など各種媒体を活用した普及啓発が欠かせない。
県民の健康づくりの指針「とちぎ健康21プラン」は、日常生活での歩数の増加を目標項目の一つに挙げている。昨年までが計画期間の2期計画では、男女とも目標に達しなかった。
3期計画(25~35年度)は32年度の目標値として、1日に20~64歳の男性8千歩以上、女性7千歩以上、65歳以上の男女6千歩以上としている。2期よりも低く設定しており、目標を達成するためにも「とけぽ」を利用したい。
県内市町もウオーキングによる健康づくりに関しさまざまな事業を展開している。「とけぽロード」は市町の協力を得て順次増やす予定で、今後は市町との連携事業にも積極的に取り組むべきだ。
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