反核・平和や人権擁護を推進する優れた報道や活動を顕彰する「第31回平和・協同ジャーナリスト基金賞」が3日、発表され、下野新聞社のキャンペーン報道「平和のかたち とちぎ戦後79・80年」が奨励賞に選ばれた。

 選考委員会は「重量感のある大作」「風化する戦争体験を未体験者にいかに引き継ぐか考える時、参考となる企画」と評価した。

 報道は2024~25年、紙面やウェブ上で展開。24年は戦後70年に当たる15年の記事に登場した本人や遺族らを再取材し、「語り部は今」と題した20回以上の企画などを掲載した。

 25年は連載企画として県内で起きた空戦の様子や軍都として栄えた宇都宮の姿をたどったほか、戦中戦後の学校教育の変遷を伝えた。継承の動きや、国策による戦後開拓の県内入植者の歩みなども報じた。

 また、宇都宮空襲の被害で届けられなかった1945年7月13日付の下野新聞を80年越しに特別紙面として発行したほか、県内の埋もれた戦争遺構に光を当てる隔週特集も展開した。

 12月上旬からは戦争トラウマなど世代を超え連鎖する戦争の痛みをテーマとした連載を始める。

 基金賞は活字、映像で計93点の応募があった。大賞の基金賞は沖縄タイムス社の「沖縄戦80年 鉄の暴風吹かせない キャンペーン」、奨励賞は本紙のほか5点が選ばれた。

 本紙の「戦後70年」報道は15年の同奨励賞を受賞している。 

 3日発表された「第31回平和・協同ジャーナリスト基金賞」の受賞者と受賞作品は次の通り。

 ◇基金賞(大賞) 沖縄タイムス社「沖縄戦80年 鉄の暴風吹かせない キャンペーン」

 ◇奨励賞 下野新聞社「平和のかたち とちぎ戦後79・80年」▽川上泰徳・合同会社きろくびと「壁の外側と内側 パレスチナ・イスラエル取材記」▽信濃毎日新聞社「連載・ともにあたらしく ジェンダー 地域から」▽テレビ朝日「黒川の女たち」▽東京新聞「安保関連法成立から10年に関する一連の報道」▽長崎新聞社「被爆80年連載・山川先生の平和ゼミ」

 ◇荒井なみ子賞 加藤宣子・Stop!辺野古埋め立てキャンペーン共同代表「〈会社〉と基地建設をめぐる旅」