「二荒の錦」(明治時代、個人蔵)

 鹿沼市ゆかりの絵師竹井漣洲(1850~1926年)を市が初めて取り上げる企画展「鹿沼伝説の絵師ここに復活 竹井漣洲展」(市など主催)が21日まで、市文化活動交流館で開かれている。見どころなどを市文化課の原田敏行(はらだとしゆき)さんに2回にわたり解説してもらう。

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 世界遺産「日光の社寺」。その歴史的建造物を一目見ようと今日、世界中から観光客が訪れる。だが明治時代、社寺は危機にひんしていた。幕府が瓦解(がかい)し、さらに政府の神仏分離の政策によって、社寺を支える経済的な地盤がなくなったためである。

 対処するため、社寺の保存・保護を目的に結成されたのが、保晃会である。当時壮年期を迎えていた漣洲は、同会の依頼を受け、1888(明治21)~94(同27)年、日光で文化財保護の仕事に従事している。

 具体的にどんな仕事をしていたのか。それを示す資料が、本展覧会の調査によって見つかった。日光陽明門に関する画帖(がちょう)3点である。