【大田原】日本酒「旭興」で知られる須佐木の渡辺酒造は19日までに、市産ナシを使用した果実酒「梨(なし)の縁(えにし)」を完成させた。小規模の醸造が可能になる国の構造改革特区制度を活用し、大田原ブランドを前面に出した商品だ。高い技術力を誇る蔵元の新たな挑戦が形となり、渡辺英憲(わたなべひでのり)社長(52)は「ナシのお酒で縁を結び地元を活性化させたい」と話している。
市は昨年3月、構造改革特区計画「おおたわら果実酒特区」の認定を受けた。これにより酒類製造免許にかかる最低製造数量基準が緩和され、市産のナシ、イチゴ、ブルーベリーを原料とした小規模の醸造が可能になった。
同社は昨年11月、規格外を中心とした市産の「にっこり」を原料に仕込みを開始した。「大田原のおいしいナシをイメージできる果実酒」をコンセプトに、風味や発酵のバランスなどを試行錯誤しながら製造。今年1月上旬から瓶詰め作業を行い、今月出荷できる態勢を整えた。
「梨の縁」はすっきりとした甘さと香りの高さが特長のシードルで、炭酸の爽快感と共に市産ナシが醸す風味の豊かさを味わえる。市のイメージを広く発信するため、ラベルには弓の名手那須与一(なすのよいち)の「扇の的」の場面を描いた「屋島合戦図屏風(びょうぶ)」をデザインした。
渡辺社長は「初の試みとしてはうまく仕上がった。酒造りの感覚は日本酒と全く違ったが非常に勉強になった」と振り返る。今後はナシのシードルの種類を増やすことを計画しているほか、イチゴの果実酒の製造も視野に入れている。
県内の特産酒類製造の特区は市のほか、那須塩原市、那須町が認定を受けている。渡辺社長は将来的に那須地区3市町が連携した取り組みも思い描いており、「横のつながりを持ちながら地域全体を盛り上げていきたい」と語った。
「梨の縁」は375ミリリットル入りで1320円。アルコール度数10%。今シーズンは2千本の出荷を予定し、那須地域を中心とした酒屋やスーパー、道の駅などで順次販売される。

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