慰霊祭で犠牲者の名前などを読み上げる源田住職(手前)ら

 1947年のカスリーン台風被害から75年を迎えた15日、犠牲者をしのぶ慰霊祭が足利市岩井町の慰霊碑前で行われた。遺族や関係者約50人が出席し、犠牲者の冥福を祈った。

 カスリーン台風では渡良瀬川の堤防が決壊し、市内は県内で最大の被害を受けた。慰霊祭を主催する慰霊碑保存協議会などの調査によると、名前が判明しているだけでも市内で321人が亡くなっている。

 慰霊祭では早川尚秀(はやかわなおひで)市長らによる献花の後、同協議会会長の猿田町、徳蔵寺住職源田晃澄(げんだこうちょう)さん(79)らが犠牲者の名前や年齢を読み上げた。最後に、遺族や早川市長ら参列者が焼香し、静かに手を合わせた。

 毎年慰霊祭に参加している菅井和江(すがいかずえ)さん(82)は「毎年この時季になり、ここに来ると(台風のことを)思い出す。きょうだいもいなくなり、台風で亡くなった母を供養できるのは私だけ。来られるうちは毎年来たい」と涙ながらに話した。