女子の大会記録更新を狙い、練習に励む堀江

 第22回全国障害者スポーツ大会「いちご一会とちぎ大会」(障スポ)が、29日に開幕する。台風やコロナ禍による延期、中止を経て4年ぶりの開催となる障スポには、多様な背景のある本県選手が出場する。積み重ねた努力や大舞台に懸ける意気込みを伝える。

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 集中力を極限まで高め、的の中心へ向け「ぶれない一射」を放つ。アーチェリー(身体)に初出場する足利市、堀江麻衣(ほりえまい)(36)は2年ほどの競技歴でめきめきと実力を伸ばしている。

 8年ほど前、手足が思うように動かせなくなった。医療機関を複数回り「心の病」と言われ傷ついた。自己免疫性の疾患とみられているが、詳しい原因は判明していない。

 スポーツを始めたのは、「明るく前向きな私を知ってほしい」との願いから。「運動神経がなくてもできそう」とアーチェリーの体験会に参加し、はまった。

 約20人が所属する足利市障がい者アーチェリー協会に入り、練習環境を求め市内へ引っ越すまでした。平日は在宅で働き、土日は朝からひたすらに射る。

 的は中心が10点。障スポは30メートル先の的へ36射ずつ、2ラウンド(720点満点)で競う。女子の大会記録は670点。田名網崇(たなあみたかし)監督(58)は「記録更新で金も狙えるほど成長している」と太鼓判を押す。

 アーチェリーの県勢5人は全員が同協会に所属。指導に尽力した吉岡洋(よしおかひろし)会長が6月に80歳で急逝した。「恩返しの金メダルを持ち帰る」決意は固い。