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 秋晴れの下で、パラアスリートたちの笑顔がはじけた。29日に行われた全国障害者スポーツ大会「いちご一会とちぎ大会」(障スポ)の開会式。カラフルな衣装をまとった総勢約1350人による歓迎演技や、多彩なダンスが披露され、健常者も障害者も老若男女が一緒に会場を盛り上げた。多様性と共生社会へのメッセージを発信する祭典が華やかに幕を開けた。

 式典前のオープニングプログラムでは、県内三つの団体が異文化共生を象徴するダンスや、宇都宮市の「黄ぶな」伝説をモチーフにした演舞を全身で表現し、約500人が躍動した。

 

 最初に登場したのは県北を中心に活動するフラダンス教室「エレガントフラ・ハラウ・オ・フジヌマ」。10~80代の107人が鮮やかな青色の衣装で優雅な舞を3曲披露すると、会場は南国ムードに包まれた。

 

益子卓郎さんも飛び入り参加したアフリカンダンス
益子卓郎さんも飛び入り参加したアフリカンダンス

 県シルバー大学校などの172人によるアフリカンダンスには、フィールド司会者を務めた本県出身のお笑いコンビ「U字工事」の益子卓郎(ましこたくろう)さんが飛び入りで加わり場内を沸かせた。

「きぶなダンス」を披露する出演者たち
「きぶなダンス」を披露する出演者たち

 疫病退散の縁起物として知られる「黄ぶな」のダンスには、宇都宮市内で幼稚園や障害者グループホームなどを運営する「エデュケアライズグループ」から園児ら213人が参加。車いす利用者も一緒に踊り、最後に全員が中央に集まると、大きな黄ぶなの人文字が浮かび上がった。

 身体障害がある同市西川田東町、会社員太田(おおた)かおりさん(41)は、益子さんと繰り返しハイタッチし「みんな輝けること、伝えられたかな」と笑顔。黄ぶなのダンスに参加した同市明保小3年北條(ほうじょう)ひなのさん(9)は「緊張したけれど楽しく笑顔で踊れた。大会を盛り上げられたらうれしい」と達成感をにじませた。

障害者と健常者が一緒に式典演技を盛り上げた
障害者と健常者が一緒に式典演技を盛り上げた

 歓迎演技「人*むすぶ*大地 人*つくる*未来~とちぎとの出会い いちご一会物語~」には、県内の特別支援学校の子どもたちや就労支援施設に通う障害者ら計約50人が参加した。曲に合わせてポーズを取ったり、大きく体を動かして「いちご一会ダンス」を披露したりして、会場を沸かせた。

 歓迎演技は、とちぎ国体と同様の22分のプログラム。自然豊かな本県で文化や産業が発展した様子を四つのシーンで表現した。

 出演したのは、宇都宮市の岡本、富屋、宇都宮大共同教育学部付属の各特別支援学校の子どもたちや、小山市の就労支援施設「第2くわの実」の利用者、健康体操を楽しむ佐野市の市民団体「山田リズム体操クラブ」所属の障害者たち。歴史と文化をテーマにした「シーン2」からフィナーレにかけて登場した。

 「第2くわの実」の利用者、大垣裕一(おおがきゆういち)さん(28)は演技後「みんなで踊れて楽しかった」と、充実した表情を見せた。

 国体開会式に続き、栃木市出身の女優でモデルの石川恋(いしかわれん)さんと宇都宮市姿川中1年稲見諒(いなみりょう)さん(13)、同市豊郷中央小6年鈴木(すずき)ひかりさん(12)が100年後の未来から来たナビゲーターという設定で、物語の進行役を担った。